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生きもの二人三脚

止め刺し槍と思い

今までは、先輩猟師に止め刺し槍を借りて業務に当たっていました。

しかし包丁然とした刃の形状が、私の考える理想とはほど遠く、使用するに堪え難い代物だったのです。

借りておいて文句を言うのも何ですが。

箱ワナに掛かったイノシシには、恐怖や痛みを極力与えずに業務にあたることを一義としています。
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つまり、素早い一突きで静かに出血死させる。

人の立場でしか考えることは出来ませんが、それが箱ワナに掛かったイノシシに対するせめてもの情けだと考えています。

しかし、その作業を行う者として、近頃はその行為がとても辛く感じるようになってしまったのです。

狩猟を始めた当初は「イノシシ」と「食」とが直結しており、それを好奇心が後押し。

その行為を業務として割り切ることが出来ました。

ところが、ここ数年はイノシシの無念の声が聞こえて来るような気がして・・・

仕事であるため行わざるを得ませんが、その度に胸が痛むようになってしまったのです。

とても「猟」などとは呼べない「不条理な処刑」に思えてしまうのです。

おそらくは、その行為に対して大義を見出すことが出来ないからでしょう。

「土手を崩したら殺処分なの?」

「植え込みを掘じくっただけでもそうなの?」

「間引きするほどの生息密度ではないよね」と。

確かにその状況には酷い場合もありますが。
04172.jpg

住宅地だから目立ってしまうんですね。

これが農村部で農作物に大きな被害を与えたとなれば話は別。

捕獲して処分することに何の躊躇もありません。

仕方がないのです。

でも、住宅地付近の山裾を掘ったくらいで・・・

人に置き換えると何だろう・・・

ピンポンダッシュや立ち小便で捕まって死刑にされる感じ・・・とでも。

それでは、あんまり過ぎる・・・と言うか、ありえない。

やりきれない思いを抱くようになってしまった思考を払拭するためには、やはり「食」しかないのでしょう。

奪った命は隅々まで有効活用する。

よって、放血を重視する。

イノシシの苦しみを和らげる事と、有効活用する事の接点がコレなのです。
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これは鉄ヤスリから作った止め刺し具。
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ところが、実猟では剣鉈で事足りるため、使用したことはありません。

作るときは大変だったのですが。

しかし、コレなら私の一義に沿った止め刺し槍に作り替えられます。

それを以って、せめてもの・・・

イノシシと私自身の慰めとしたいのです。

   


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コメント


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全く同感です。
しかもシマ仔とかは逃げようと箱罠に頭が挟まった所をハンマーで…
ここだけの話ですが、私はシマ仔を箱罠から逃がした事があります。もちろん自分の箱罠です。先輩猟師に言ったら、仕事だから仕方ないと言われ、誰にも言わない方がいいと言われました。
最近は電気止め刺しで感電、気を失った所で首下の頸動脈で放血して、美味しくいただいております。

kotaro | URL | 2020-09-12 (Sat) 13:42 [編集 ]


kotaroさん

おそらくは大抵の方は、どこかで「命」に対する壁にブチ当たるのだと思います。
それを乗り越える足掛かりが「食」つまり「有効利用」なのでしょうね。
そして、その根底には猟師さんそれぞれの流儀がある。
どれが正しいのかは分かりませんが。
「山からの恵を分けて頂いている」と考える人と・・・
「害獣は根絶やしにする」と考える人。
そして何も考えていない人。
それぞれの思考によって、ウリ坊の扱いが大きく分かれるように思います。
私もここだけの話ですが・・・農家さんからは怒られそうです(-_-;)
止め刺しは、こちらではプロ猟師の方がkotaroさんと同じ方法で行っています。
電気で絶命させたイノシシの肉は血が残り過ぎてしまいますよね。
よって、絶命させずに気を失わせる程度に電気ショックをとどめ、外に出して放血。
これが一番かもしれませんね。さすがですね。
私の昔ながらの方法では一瞬で事が済むのですが・・・
まぁ、次までには雨などでキレイになっているからいいのですが。
いずれにしても、美味しく食べてあげることが何よりも大切ですよね。

あっきょ | URL | 2020-09-12 (Sat) 15:26 [編集 ]


夜まで残ります

箱罠の止め刺しの鳴き声は、夜寝ていても夢に出ることがあります。
そんな声を聴くと「美味しく食べてやるからな…」と思います。

「命」に対する考えは百人百様ですよね。
多様性なんて言葉で一括りには出来ないと思いますし、ある程度同じ考えの人でないと、共猟なんて出来ないでしょうね。

じゃん | URL | 2020-09-12 (Sat) 19:16 [編集 ]


じゃんさん

止め刺しにも流儀がありますよね。
止め刺しの腕前で、その猟師の「質」が分かるように思います。
ブスブスと何度も失敗をするような猟師は、今すぐに狩猟をヤメロと言いたいのです。
「命」の意識がないのです。
そして「命」を考えているかどうかのバロメーターは・・・
山に公然とゴミを捨てるかどうか。
私はそれで、おおよその判断をしています。
食べた後の容器を、なんの躊躇も無く山に捨てるような狩猟者は共猟するに値しないと考えています。
獲物の命を考えない者は猟犬の命も考えません。
つまり、信用できないのです。
でも、狩猟者の中に信用できる人って意外に少ないですよね。
ところで自分はどうなんだろう・・・(-_-;)
あの断末魔の叫びが頭から離れないから・・・
「命」を意識している証拠かな。
なら、じゃんさんと同じだな🎵
難しい問題ですが・・・
お互いに、今後も真剣に「命」と向き合っていきましょうね!

あっきょ | URL | 2020-09-12 (Sat) 20:41 [編集 ]