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生きもの二人三脚

猟犬と騒動

猪との対峙では強烈な鳴き声を張り上げるミカサ。
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いわゆる『鳴き犬(吠え犬)』とやらの性でもあります。

勢子やタツ役は「おっ、起きたぞ」とか「止めてるぞ」と分かりやすい上に、その鳴き声を聞いて高揚感を覚える。

狩猟の醍醐味の一つでもあります。

しかし、これは諸刃の剣でも。

深いシダ場などでは猟犬たちですら猪を目視できないことがあり、猪の動く音でその存在を確認している場面も多々あります。
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ところが己の鳴き声で音が かき消されて、猪を見失うこともあるのです。

そして猪のニオイが薄くなったことで「あれ?」と逃げられてしまったことに気が付き、再追跡。

これが鳴き犬のダメなところ。

要所で適度に鳴いてくれる日本犬では、この様なことは殆どありません。

昨日は、そんな鳴き声番長のミカサが鹿を追ってタツの囲みを抜けて、その先で猪を起こしてしまいました。

そこからが もう大変。

鳴き声番長の強烈な鳴きに、2猟隊の鳴き犬たちが引き寄せられてしまい、隣接する山より合流。

ミカサを含めて3猟隊の鳴き犬が大合唱しながら猪を追い始めてしまったのです。

3頭とも鳴き犬同士で意気投合したのか、猪との対峙はもう終わらない。

ところが そんな時に限って私のGPS機が不調となり、使えない状態に。

ならば鳴きを頼りに現着して猪を止め撃ちしてしまおう。

だがしかし!

時間を確認すると夕方の5時半を回っている!

日没時間以降の発砲は発射制限違反となるのです。

ならば猪を手掴みしてしまうか。。。

それとも剣鉈で勝負か。

咬み犬に咬み止められているのなら何とかなりますが・・・

鳴き犬たちの中途半端な絡みだと思われるため・・・

大猪ならば、下手をすると私は映画プレデターのビリーのようになってしまう。
ビリー最後

「グワ~ッ!!」との断末魔の叫びとともに・・・嗚呼。。。

結局、他の2猟隊の2頭は暗くなってから戦線離脱。

それぞれに回収されました。

ところが山中が暗闇に包まれてもミカサはまだヤメない。

「お願いだから もうヤメて、ミカちゃん」と泣きが入った私。

あまりに山が大きく深かったため、追跡を断念。

解体が終わった猟仲間たちにも帰ってもらうことにしました。

そして私は次の日の本日朝5時よりミカサの捜索を開始。
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しかし場所を変えて大声で呼んでも反応が無いため、猟場内には居ない様子。

GPS機が使えればミカサの居所が分かるのですが・・・こればかりは仕方なし。

そこで作戦変更。

『お巡りさんに聞いてみよう!』作戦に切り替えて、猟場周辺地域の交番を回ることにしました。
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そうしたところ、とある地域の交番で昨晩に大捕り物があったとのお話を。

犬が山裾の街を徘徊しているとの通報で緊急出動。

パトカーと数人の警察官がその犬を捕まえようと追い回したものの逃げられてしまったそう。

その交番の婦警さんが捕まえそこなった犬の写真を見せてくれました。

「このワンちゃんなんですよぉ」と。

スマホの画面を覗き込むと・・・

紛れもなくミカサでした。

「皆で追い回したら逃げられるに決まってるじゃん。オレだって逃げちゃうよ~」と言いたいところでしたが、そこは我慢。

「そうですか・・・すいません、お手数をお掛けしました。しゃがんで笑顔で『おいで』と言えば寄って来るんですけどね」と私。

続けて「とくに この犬は女性が大好きなので、寄って来てもおかしくないはずだけど、気が動転していたのでしょうね」と。

すると・・・

「立ったまま声を掛けずに近付いたし、マスクをしてましたからね・・・私が女だと気が付かなかったのかな」と婦警さん。

それに対して「そうかもですね~」と私。

そして二人で「あはは♪」と。

笑っている場合ではない。

再度お礼を言って、私は単独でミカサの捜索を開始。

でもミカサの移動スピードを考えると、かなり広範囲なはず。

2時間ほど探し回りましたが、これは非効率的だと判断。

一旦、犬舎移設地に戻り、秘密兵器を積み込みます。

と、その時に先ほどの婦警さんより電話が。

またもやミカサらしき犬の徘徊の通報があったと。

「すぐに向かいます!」と私。

途中から捜索に加わってくれていた先輩がその近くだったため、すぐに無線を飛ばします。

でも、またもやパトカーと警官に追い回されたミカサは逃げ回り、先輩が呼んでも同じ反応だそう。

そこに遅れて到着した私。

秘密兵器のトラを外に出します。

トラの鳴き声も拡声器級。
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この声に気が付けば「おっ、トラの声だ!ならば父ちゃんが一緒にいるはず!」と、ミカサは一直線で帰って来るはず。

では作戦開始。

私がトラから離れると・・・

「おい!父ちゃん、オレを連れて行ってくれ!」と言わんがばかりに鳴き始めます。

私の声は300mくらいは届きますが、トラの鳴き声は800mは余裕。

しかし、ミカサは現れず。

そこで先輩からのアドバイスは「この先の道を行ったんじゃないか?」と。

山頂へ向かう登山道を登って行ったのではないかと言うのです。

そこはコンクリートの道で、軽トラならば通れる道。

しばらく登って呼んでみたものの反応が無かったため、トラにバトンタッチ。

ところが これも反応無し。

場所を移動するために車に乗り込んでドアを閉めようと・・・

と、そこへ何かが鈴の音とともに飛び込んで来たっ!

ミカサでした。

さすがは秘密兵器トラ。

ミカサは ひとしきり私に甘えると、安心したのか?犬箱に入って大人しくなりました。

そして先輩に無線を。

「ミカサを回収!警察の方に今からそこに向かうと伝えて下さい」と。

山から下りると・・・

「よかったね~♪ ホッとしました」と親身になって喜んで下さった警察の方々。
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本当にお手数をおかけしました。申し訳ありません。

先輩猟師のMさんもありがとうございます。

「ミカちゃん、遅くなってゴメンネ」
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犬舎移設地に戻り、鱈腹ご飯を食べさせてあげました。

今日はゆっくりと休んでくださいな。

私も疲れました。



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コメント


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見つかってよかったですね。
うちも以前山ではぐれて見つからず、
車に戻ったら側で寝てたり、また別に、
谷を出たお宅に保護されてたり、探してる間は気が気じゃないですね。
とにかくよかったよかった。

坪ちゃん | URL | 2024-02-26 (Mon) 07:01 [編集 ]


ミカサちゃんが戻って来た所で、涙がこみ上げました。

数日前に、こちらは温和な家庭犬の二児の父親の柴犬ハチくんの、
まだ若くて突然のお別れに心が沈んでいる時でした;

生まれた時、この子は薩摩ビーグルの血統が出たかもと思っていたポッポが、
散歩中の大脱走の常習犯でした^^;

レンママ | URL | 2024-02-26 (Mon) 16:34 [編集 ]


坪ちゃんさん

ありがとうございます。
どんなことがあっても私が回収してくれることを信じているミカサ。
その心の支えに応えられなかったことが無念でなりません。
GPS機のメンテも含めて反省しています。
やはり犬は子も同然ですね。

あっきょ | URL | 2024-02-26 (Mon) 20:36 [編集 ]


レンママさん

ミカサが私を探し回っていることが明らかな行動パターンでした。
きっと必死だったのでしょうね。
その時のミカサの心境を考えると、さすがの私も辛かったです。
今日もミカサの頭を撫でながら謝ると、じっと聞き入って尻尾を振っていました。
犬って心の生きものですよね。

あっきょ | URL | 2024-02-26 (Mon) 20:47 [編集 ]


ミカちゃん、イングリッシュ・ポインターでしょうか?
無事に帰ることが出来て本当に良かったです。
トラさんもゴッド・ジョブでしたね。

わに | URL | 2024-02-27 (Tue) 09:21 [編集 ]


わに さん

ありがとうございます。
ミカサはビーグルとプロットハウンドの雑種で、とある猪犬訓練所が作出した猪犬です。
やはり犬の鳴き声は通りますね。
回収手段として友犬の鳴きは最強です!

あっきょ | URL | 2024-02-27 (Tue) 22:49 [編集 ]