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生きもの二人三脚

イノシシの奥の手

猟犬を引く時は、2頭までと私は決めています。

理由は一つ。

それより頭数を増やすと、ろくな事にならないから。

よって、単頭引きの場合も多いのです。

我が家の猟犬たちは、単頭引きでもイノシシが獲れるため、毎猟の猟スタイルに合わせて使い分けています。

今、飼育している猟犬は2系統。

ビーグルとプロットの交配種でもあるビープロ。
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もう一つは、三重のとある地域の地犬と、狼谷系ワサマサや熊野地犬の交配の上に作出された、三重地犬。
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どちらも中島猪犬訓練所さん由来で、大まかには洋犬系統と和犬系統となります。

ただし、三重地犬のカノだけは別。

中島猪犬訓練所と繋がりの深い、私の猟犬師匠でもある龍さんが作出された猪犬。

いずれにせよ、洋犬と和犬、その両方にブルテリアのエッセンスを感じることが出来ます。

若干の「咬み」の気質が加えられているのです。

そうでなければ、イノシシはなかなか止まらない。

その代償として、早く対処しないと大変な事にもなり兼ねませんが。

すると、捜索レンジを私の機動力に合わせてくれる和犬の方が対処が早い。

カノなどは実に手慣れたもの。
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匂いでイノシシの大きさが分かるようで、7・8貫までの小ぶりなイノシシならば自分で仕留めてしまいます。

そして私の元へと戻ってきて「こっちに来て、獲ったよ♪」と、嬉し気に私をその場へと誘導。
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反対に大イノシシを気取ると、私の顔を見てくる。

100~200m先に手強そうなイノシシが潜んでいるのを、匂いで感じているのです。

カノは私の少し前を進み、私をそこへと向かわせます。
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ビープロのように、いきなり寝場へ突進したりはしないのです。

そして大イノシシまで30mほどに接近すると、ササッと大イノシシの所へと向かい、軽く鳴く。

カノ的には「父ちゃん、ここだよ」くらいの鳴き。

一方、大イノシシの方は「なんだよ、うるさいな。あっちに行けよ」程度のカノへの威嚇。

やはり和犬であれ、鳴きがあると助かります。

その鳴きに合わせて静かに忍び寄る私。

で、上手くいくと、そのまま御免!で、こちらの勝ち。

しかし、中には凄いイノシシもいる。

私が近付くのを気取り、寝場から出ようとして、その際にカノと交戦。

カノに咬まれた上に人間への恐怖心がそうさせるのか、イノシシが奥の手を使うのです。

なんと下痢便を屁と共に辺り一面に撒き散らし、猛ダッシュで逃走。

カノは追い鳴きをしながら、その大イノシシを追跡。

私は、後を追うも・・・

笹に付着した大イノシシの下痢便が、今度はそのまま猟服に付着。

それに気づいた私は「なんじゃこりゃ~!」

あの松田優作氏が演じるジーパンの殉職シーンさながら。

ただし、手に付いたのは己の血ではなく、大イノシシの下痢便。

私も殉職したのでした。。。

あの時はカノに申し訳ない事をしました。

「父ちゃん、遅いな」と、大イノシシに振り切られて、私の元へと戻ってきたのです。

この時以外にも、今までに2回、イノシシの「攪乱下痢便攻撃」を経験しました。

とにかくイノシシの下痢便は凄い匂い。

モツを下ごしらえする時は、あんな匂いはしないのに。

もしかすると、何か別の物質を出口あたりでブレンドしているのだろうか?

思わぬ方向へ話が逸れたまま軌道修正が効かなくなりましたが・・・

お食事中や前後の方々には、誠に申し訳ない、お下品な話となってしまったことを深くお詫び申し上げます。

ごめんなさい。

それにしても・・・

捜索レンジの広いビープロ軍団ではこうはいかない。
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私が到着する頃には、既に下痢便を出し切っているのでしょう。

そんな経験が出来るのも、カノのおかげなのです。。。




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鹿が鳴けば私が怒られる

我が家の裏山から聞こえるオス鹿の鳴き声。

10年ほど前のこちらの地区では、考えられなかった事でもあります。

ところが5年ほど前から、秋の訪れを告げるが如く聞こえて来るようになりました。

「こんな街中にも自然が戻ってきたんだ」と、私は考えるようにしていますが、胸中は複雑。

日が短くなる中で、オス鹿の鳴き声は、時に哀愁を感じる悲しげな声にも聞こえます。

メス鹿に向けたラブコール。

そんなオス鹿には、お願いしたことも。
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できることなら尾根だけで鳴いて頂きたい。

中には山際に下りて来て、目いっぱいラブコールを続けるオス鹿もいます。

それはそれで力強さが感じられて、いいのですが・・・

問題なのは、オス鹿が放っているであろうフェロモン臭。

山際から我が家までは200mほど離れているため、人間には全く分からない。
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しかし、猟犬たちは反応してしまうのです。

おそらく猟犬的には鹿の匂いがプンプンなのでしょう。

昨日も猟犬たちが大興奮。

「おっ、鹿が近いのかな」と。

猟犬たちは「ヒャ~ヒャ~ピスピス」と鼻鳴き。

風向きは山側から。

「鹿君、お願いだから尾根に移動して下さいな」と、私は祈るような気持ち。

庭からは鎖の音がジャラジャラと騒がしいし、犬舎内からはドタバタと。

暫くすると猟犬たちは大人しくなりましたが。

お祈りが効いたのかな。。。

でも・・・

ちょっと遅かった感じ。
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車の使用主の家内から怒られて、私が鳴きたいくらい。

「ヤメてぇ~~よぉ~!」と悲しげに。

鹿が鳴いたら、思わぬ流れで私が怒られた。

「風が吹けば桶屋が儲かる」じゃあるまいし。

コーシンは、犯行の少し前まで親子で遊んでいたためテンション・マックス。
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って、親子じゃなかったな。。。まぁいいや。

それで、その直後にテンションが下がらぬままにクンクン・・・?!

「シカ、近し!!」と。

とぼけてもダメですよ。
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お利口さんなコーシンにしては珍しい。

近々、ユキカゼ号とリード散歩がてらに裏山の様子を見てこようと思います。

オス鹿には、もう少し高いところへと移動して頂きましょう。

山際よりも、尾根から鳴いてもらった方が趣も感じられますしね。




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猟友会に入会しよう

珍しく、農林事務所から封筒が送られてきました。

「なんだろう?」で開封。

と、目に飛び込んできたのは、少々大げさな下り。

「令和4年度猟期到来のお知らせ」と。

「到来?」・・・まぁ、いいか。

読んでみると、その事情が分かりました。

こちらの地域では、狩猟違反を犯す者が目立ち始めたからでしょう。

「狩猟者登録」の事をやたらと強調している。

そりゃそうだ。

その種を撒いたのは行政だから。

煽るかの如く、無節操に狩猟者をかき集めると、こうなる。

狩猟免許制度の在り方や、低すぎる狩猟者へのハードルが宜しくない。

狩猟違反を平気で犯す者が紛れ込むのです。

そして、その様な者は、大抵は猟友会に入会していない。

なので「猟友会に入会しましょう」とも書いてある。

例えば・・・

狩猟者登録をしていない者が猟を行う。

罠猟免許が無いのに罠を仕掛ける。

違法罠を平気で使用する。

銃禁区域で、お構いなしに鉄砲を使う。

許可が無いのに夜撃ちもヘッチャラ。

許可の無い者が家族の鉄砲で、勝手に猟をする・・・等々。

にわかに信じがたい違反行為が、次から次へと耳に入って来る。

さぞかしや生活安全課の担当者さんも忙しい事でしょう。

同じ狩猟者として恥ずかしい限り。

でも、この悪しき流れは猟友会にも責任があるように思います。

「自分たちさえ良ければ、あとは知らない」は、いかがなものか。

「狩猟者育成の窓口」を、もっと前面に押し出して積極的に組織として動くべき。

新人の希望を確認した上で、一人一人を丁寧に教育。

つまり、それぞれの猟隊や個人に、状況に応じて仮入隊、もしくは仮弟子入りさせる。

猟友会としてシステム的に、そんな事もアリなのではないかと。

しかし、中には極端に排他的であったり、自分たちに有利な情報操作を行うために、偽りをでっち上げる厄介会員たちもいる。

そんな厄介会員たちは、無法者たちと同レベル。

やはり、猟友会がもっと変わらないと。

自浄能力があるところを見せないと。

好々爺集団ではイカンのです。

これは、今後の事を担う私たちの世代の課題でもあります。

何とかしないと。

そんな今日は、夕方より狩猟者登録に向けての会合がありました。

私たちの支部は、頼れる会長さんはじめ先輩方が頑張って下さっているため、皆がガッチリと連携しています。

よって、はみ出し者は皆無。

この流れを、もっと広げられないものか。

「自分が所属する猟友会は、素晴らしい猟友会支部で、ナイス!」だけでは意味がない。

全支部が「ナイス!」でないと。




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猟犬としてのオスとメス

今までに数人の先輩勢子や凄腕先輩に質問をしてきました。

「猟犬はオスとメス、どっちがいい仕事をするの?」と。

皆さんの答えは似たようなものでした。

メス犬を支持する人が思いのほか多かったのです。

「仕込みに時間が掛からない」

「仕事が丁寧」

概ね、そんな答えでした。

一方のオス犬に関しては・・・

「発情期が無いから、いつでも使える」

・・・・・

これだけ。

逆に言えば「メス犬は、発情期の間は使えないからなぁ」と、なるのですが。

確かに発情期中のメス犬は、猟への集中が欠ける面があり、他の犬に対して排他的にもなる。

共猟で他にオス犬がいたりすると、そのオス犬たちはメス犬のラブラブ・フェロモンでヘロヘロのメロメロ。

もはや猟どころではありません。

実猟中に交尾をしてしまった例も耳にしていますので、笑い事では済まない場合もあるのです。

知り合いの猟師さんに貰われていったそうです(笑)・・・良かった♪
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そんな中で皆さんが口を揃えて言われていた事があります。

「本当に良い犬はオスなんだろうけど」と。

語尾に「けど」と、殆どの先輩が付けていた事に若干の違和感を覚えましたが。

ただし「良い犬」との見解は皆さん色々。

猟芸の好みの問題もあるため、その判断は難しいのです。

私自身も先輩勢子さんの、数頭のオス犬を観察してきましたが、分からない。

良い犬もいれば、ダメな犬もいる。

そう考えると、総じて「メス犬の方が安定して良い仕事をする傾向にある」と実感する毎猟でも。

そこで、数年前より我が家の猟犬たちで検証を続けている最中ではありますが、その中で何となく見えて来た事実もあります。

先輩方が言われていた事に頷く場面が意外に多いのです。

メス犬たちは即戦力となりましたが、オス犬たちは、そう上手くはいかない事も。
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オス犬たちは徐々に仕事っぷりが良くなってきて、2・3年かけて、やっとメス犬に追い付くといった感じ。
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ところが同じくオス犬のユキカゼ号は、まるで違う。
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即戦力となったメス犬たちも顔負けの訓練結果に狼狽えた私。

よって猟期にユキカゼ号を使うことに今からチビリ気味。

このユキカゼ号を使いこなせるかは、私の技量次第。

先輩方の「けど」の理由が分かる気がするのです。

いずれにせよ、和犬と洋犬の気質・猟芸の違いや、それぞれの血筋による猟芸の違いを考慮に入れて比較するも、オスメス云々との違いを断定する段階には至っていません。
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しかし、自分が確立するであろう血筋に関しては、雌雄それぞれの特長を掴んでおきたいのです。

と、考えながらも、そもそもオス犬とメス犬で気質や猟芸に差など表れるのだろうか。

その猟芸の目覚めに早い遅いはあっても、雌雄での顕著な違いは無いようにも思います。
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一例を申し上げますと・・・

私の父と妹は同じような性格で、頭の回転が速く、根気もあり、勤勉。

でも、母と私は天然で、頭の回転が遅い上に壊れていて、せっかちで飽きっぽい。

よって我が血筋において、その気質の雌雄による関連性は認められないのであります。。。

ならば猟犬たちだって同じことが言えるのではないか?
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発情期の有無と、オシッコのスタイル、そして猟犬として早咲きか遅咲きか。

この程度のオス犬とメス犬の違いの認識で、いいのかも。

猟犬に精通している方々からは、お叱りを受けてしまいそうな見解ではありますが、実際に猟犬と接していて、そう感じる毎日なのであります。

回転寿司の、お会計のようなエサ皿が実に頼もしい。
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モリモリ食べてよ!

やはり猟犬は家族。

そんな毎日が幸せでなりません。

大変だけど。。。




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慈悲の心は忘れずに

生活安全課で押してもらうハンコ。

これに対して、いつも違和感を覚える私。

未だに『有害鳥獣駆除』なのです。
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「平成」に横線を引いて「令和」と書き直す感じとでも。

狩猟を知らない一般の人なら、それは仕方がない事なのでしょう。

しかし、それを管理する側の行政が、今どき「駆除」は無かろうと。

ハンコを刷新するくらいの事務費はあるだろうに。

それとも法規がそのままなのか?

「駆除」とは、害をなすモノを取り除くとの意。

ならば実際にはどうなのか。

確かに「害」を及ぼす場合は多い。

けれども予防的な場合も多い。

つまり効果が分かり難く、完全に駆除とは言い切れない事もある。

共存の道もアリなのではないか。

山の生きものたちからしても「一方的だろ」と、人間には言いたいはず。

と、それは、さて置いても・・・

「駆除では、あんまりだ」との事で、随分と前に『捕獲』と改められたのです。

ここには、様々な方面への配慮も見て取れます。

奪われた命に対して「駆除」では敬意の欠片すらも感じられませんし。

ところが「捕獲」にも違和感を覚える。

「捕獲」とは、本来「生け捕る」こと。

命を奪っておきながら「捕獲はないだろ」と、思うわけです。

もっと適切な言葉はないのだろうか。

日本語とは実に難しい。

でも、そうは言っても言葉も生きていて、歴史と共に変化し続けている。

単に「とらえる」との意味へ変化しているのでしょう。

いずれにせよ、管理捕獲と併せて「間引き的要素」の強い捕獲業務。

余計な事を考えずに命あるものを捕獲し続けなければなりません。

しかし、この様な考え方が狩猟を残酷、且つ、つまらないモノとしてはいまいか。

おそらく、その感覚を払拭してくれるのが獲物肉の有効利用なのでしょう。

つまり、ジビエ料理、等々。

結果論的な感じは否めませんが、やはり、そこが重要ではないのかと。

私は言いたいのです。

慈悲の心を忘れた猟師は猟師にあらず。

「食べるために命をいただく」が生命としての基本。

どんな生きものであれ、命は尊いもの。

そんな事もあり「捕獲」と改めたのかもしれません。

これも時代の流れか。

いやちがう。

人間としての本質が、そうさせたと思いたいのです。




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秋の台風と予想外の肴

台風が過ぎ去って、晴れ間が戻ってきた今日は、父と母の様子を見に行ってきました。

線状降水帯が川の上流部を逸れたため、予想以上に水位が下がるのが早い。
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実家では、いつもと変わらず元気な父と母。

まずは一安心。

とりあえず、お茶休憩。

その後、秋の剪定の段取りをするために、実家の庭中を見て回ります。

まずは、我が家から移動させたカヤランが心配だったため、真っ先に確認。

おっ、枯れかかっていたのに新芽が出ている。
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やはり自然素材のシュロ縄との相性は良いようです。

川沿いに移したため、湿度が高いことも功を奏しているのでしょう。

別の株は根の張りが格段に良くなったし。
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と、足元にはサワガニ。
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今度は日当たりの良い方へと移動。

オオカマキリのオスからは、ガン見の挨拶を。。。はじめまして。。。
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じきにメスと交尾をするのかな。

でも、交尾後はメスから素早く離れないと食べられちゃうよ。
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暫くすると、思い出したかのように「山栗の木があるから見に行こう」と母。

雨や風が強かった次の日は、栗などが地面に落ちていますからね。

猪や鹿が悪天候の後に動きが活発になるのも頷けます。

小さいながらも美味しそうな山栗。
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栗が好物の父を喜ばせようと、せっせと栗拾い。
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喜ばせついでに、ゴルフネット上の小枝や落ち葉を清掃。
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さてと、私は我が家に帰って庭木の剪定をしなくては。

帰りのお土産に、母が魚を渡してくれました。

その魚は、なぜかフエフキダイの一種。

ご近所さんから頂いたそう。

実はこのフエフキダイ、かなり旨いのです。

シンプルに塩焼き。
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晩酌の肴には持って来い。

と・・・熱い視線を感じた私。

目線をそちらに向けると・・・

ウメちゃん発見。
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はいはい、分かりましたよ。

そんなフエフキダイの塩焼きは抜群の旨味。

脂も乗っていました。

でも・・・

やっぱり海が変だな。

以前、この辺の海は、亜熱帯性のフエフキダイの分布域ではなかったのです。

これも地球温暖化の影響なのかな。

少々複雑な気持ちで舌鼓を打つのでした。




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牡丹鍋と猪汁

猪肉で『鍋料理』と言えば、やはり牡丹鍋。

でも、その味付けや作り方、そして具材には定義があるのだろうか?
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これには地域性や個人の好みがある事を考えると、何とも言えなさそう。

そんな我が家では自家製猪骨スープか、市販の豚骨・鶏がらベースの味噌味スープで作ります。
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具材は、白菜、シイタケ、長ネギ、ニンジン、揚げ、豆腐。

ならば、猪汁とは何なのか?

牡丹鍋の別の呼び方のような気もしますが、作ってみると意外に、いや明確に違う。

先日、家内が作ってくれた『しし汁』にヒントがありました。

家内は豚汁を作る要領で、豚肉の代わりに猪肉を使っただけ。
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市販の出汁入り味噌に、魚介ベースの本ダシを追加した味付け。

いわゆる普通の味噌汁の味付けです。

よって具材は、ゴボウ、大根、長ネギ、シメジ、ニンジンと、牡丹鍋とは少々違う。

その具材は好みの問題でもありますが。

コンニャクや里芋だって相性がいいし。

ただし、鍋炊きによる猪肉料理のレパートリーを10種類くらいは用意しておきたいため、あえて違いを出したい。

そんなことで・・・

先日、家内が作ってくれた「しし汁」が実に旨かったため、家内には感謝を込めて何か作ってあげようと。

よし!猪汁を作ろう!

これは、しし汁と何が違うのかと申しますと・・・

メニュー名が漢字になっただけ。。。

そこに秋らしさを強調するため、キノコ類を多めに入れることに。

早速、スーパーにてお買い物。
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肝心の猪肉は昨猟期のモノを解凍。
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おっ、大丈夫♪ 全然平気。
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ポリ袋とジップロックの二重包装、侮りがたし。

大根とニンジンの上に一面にブナシメジとマイタケを敷き詰めます。
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その上にゴボウと長ネギを。
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あとは水を入れて煮方はじめ!

本だし(小さじ2杯)を入れて暫く煮ます。

野菜類に火が通ったら味噌を投入。

そうしたら猪肉も。
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最後に塩で味を調整して出来上がり。

旗日だというのに朝から仕事だった家内。

夕方、クタクタに疲れて帰って来ました。

「おぉ、疲れたであろう。 猪汁を作っておいたぞ。 さぁ、こちらへ参れ」
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「かたじけない。 ならば相伴にあずかろう」

「どうじゃ、拙者の作った猪汁は」
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「うむ、精が付きそうじゃのう」

「おう、いい味じゃ。 ご飯に合うではないか」と、モリモリと食べてくれる家内。

そんな流れで、家族で美味しく猪汁を頂きました。

牡丹鍋、猪骨スープ鍋、猪汁・・・そう言えば、すき焼きも旨いよな。

ならば次は何を作ろうか。

スーパーに行くと、近頃は色んな味の鍋汁の素が売っていますからね。

トマト、牛乳、チゲ、コンソメ・・・

その前に、もっと涼しくなってくれないかな。




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モノ言う勢子

グループ猟において、猟犬と共に獲物を起こし、タツ場へと追い立てる役の勢子。

この勢子役において、様々な勉強をさせて頂いている先輩がいます。

後期高齢者となられた現在でも、現役バリバリの先輩。

こちらの地域での捕獲業務を支えて下さっている第一人者でもあります。
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私は、この先輩勢子さんにお供する形で捕獲業務に参加することが多く、山や勢子ルート、そして寝場などを学んでいる最中です。

そんな先輩勢子さん、勢子としての高い技術は勿論、タツ役への配慮も絶対に忘れない。

猟場内の変化や見切りから推察した獲物の生息状況など、進行しながら定期的に無線にて報告。
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その臨場感あふれる無線内容を聞いているだけでも、タツ役自身が猟場内を進んでいるが如く。

緊張感が途切れないのです。

そして、その推測どおりに猟が運ぶ。

この「無線でのアナウンス」も、勢子技術の一つであると実感する毎猟でもあります。

しかし、そんな先輩勢子さんは、マナーの悪いタツ役には厳しい。

とにかく、怒る。

タツに配置した後の、タツ役の無線による無駄なお喋り。

犬を放ったあとの、タツ役のおせっかいな無線。

「犬が鳴き出したぞ」などとタツ役が喋ろうものなら、すかさず注意。

「黙ってろ」と。

そう、警戒モードに入った獲物は、声のする方へなどは基本、逃げて来ないのです。

しかし、お喋りさんは注意されても、次の猟ではまた喋ることも。

すると、猟が終わった後の反省会で、先輩勢子さんは更に怒る。
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「だから、アンタの所へは獲物が行かないんだ。獲れる物も獲れなくなるぞ」と。

逆に、鉄砲を鳴らしても無線を入れないタツがいると、今度は「黙ってないで状況報告しろ」と注意を。

迅速な無線報告は、タツ役としての基本であり責務。

また完全な射程距離内で、獲物を外したタツ役にも怒る。

「鉄砲を鳴らせただけでも上等♪」などとの優しい言葉はあり得ない。

「なんで外すんだ、ここに逃げてきた獲物を仕留めるのがアンタの役目だろ。ボッとしてるなよ」と、お厳しい。

そして『「すいません」くらいは言うもんだぞ』と、外したタツ役に、もう一叱り。

毎日、真剣に猟犬たちと向き合い、世話に余念のない先輩勢子さん。

実猟中も勢子の役割をシッカリと果たし、一切手は抜かない。

もちろん猟犬たちは命がけ。

なのに、さもない距離をあっさりと外し、ウンでもスンでもない責任感の感じられないタツ役。

先輩勢子さんの気持ちが痛いほど分かる私。

そう、それと、狩猟マナーにも厳しい。

獲物の引き出しの際、農道などに血痕を落とし、うっかりそのままだったりすると、また厳しく注意。
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「血痕はキレイに掃除しろ」と。

ホント、ごもっともであります。

考えてみれば、先輩勢子さんの言われることは、至極当たり前のこと。

狩猟者として、いや、人として。

そのおかげで、私の所属する捕獲業務の捕獲隊は、隊長の指導とも相まって、一定の緊張感が維持されています。
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つまり、それらは安全狩猟に繋り、若手も育つ。

その指導的役割を担うのは、次は私らの世代。

実は私も結構、口うるさい方ですが・・・

世代が入れ替わる中で、常識的な方々が多くなり、私の出る幕などは全くなし。

しかし、油断は禁物。

問題点には早めに手を打つ。

先輩勢子さんから学ぶことは、まだまだありそうです。




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犬の気持ちとクサリ

犬舎に閉じ込められるか、それとも開放感はあるけれど鎖に繋がれるか。

どちらがいいかと問われたら「犬舎」と私は答えるでしょう。

鎖で繋がれるなどは、まっぴらゴメン。

絶望的な気持ちになってしまう。

時折、そんなことを犬の気持ちになって考えてしまうのです。

犬の飼育において、自由に動き回れる環境にしてあげたい思うのは飼い主なら当然のこと。

猟犬だって同じ。

普段でも自由な方がいいに決まってる。

しかし、主従関係の意識を強く持たせるため、また猟場での扱いやすさを考えると「節度ある自由」となる。

野放図は絶対にダメ。

飼い主への意識の弱い猟犬は、短命に終わる傾向が強いからに他ならないのですが。

すると常に管理下にある状態が、飼い主としては安心かつ躾けやすい。

「猟犬は家の敷地内で飼え」と、師匠が何度も強く言っていたのを思い出します。

ところがそれは、同時に猟犬たちの自由を制限してしまう事にもつながる。

敷地の広い家ならば、ともかく、狭い家の場合はどうすることも出来ない。

そのジレンマの中で私は考えるのです。

我が家の猟犬たちは1頭ずつ丁寧に躾けて、段階的にシッカリと仕込んだため、狭い家でも問題なく飼えています。

端的に言いますと、猟犬飼育のコツを掴んだとでも言いましょうか。

そのおかげで猟犬たちの気持ちが分かるようにもなってきました。

また、猟犬たちは私の言葉が理解できています。

あっ、そうだったのか・・・やっと分かった。

猟犬たちが「私と付き合うコツを掴んてくれた」との見解が正解か。

どちらにしても、犬舎が狭いことには違いはなく、ストレスフリーとは言い難い。

そこで、少し前から試験的に鎖に繋いだ飼育を試しているのです。

以前、先導犬だったヤマが鎖飼いで、いつも平然と気分良さそうにしていましたので。
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結果は面白いモノとなりました。

鎖飼いは、ビープロのコーシンとミカサで実施中。
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鎖から放ち、庭で遊ばせて、後に2頭に「犬舎がいいの?それとも鎖?」と選ばせてみたのです。

すると2頭ともに「鎖がいいな♪」と。

犬舎に入らずに、鎖で繋いでいる場所に「よっこらしょ」と座る。

「いやいや、犬舎の方が自由だよ」と、首輪を引っ張り、入れようとすると・・・

今度は明らかに犬舎に入ることを拒絶。

鎖の場所に戻ろうとする。

エサで誘ってもダメ。

鎖を設置した位置が、家族と自由に触れ合える場所だったこともあるのでしょうが、これは意外な結果でした。
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彼らにとって鎖への認識は、人と違うようなのです。

また鎖飼いだと、私との距離感が縮まるのか?コマンドに対しての反応が犬舎よりも素早い。

なので「やはり鎖飼いも、いいもんだ」と実感している近頃でもあります。

今日は穴掘りをしていましたが。。。ヤメて下さい。。。
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ところが、一つだけ問題も。

狭い家であるが故、庭に入ってきた宅配業者さんを驚かせてしまうのです。

よって、看板を設置しようかと思案中。

「猛犬が飛び出してきますが、鎖で繋いでいるので驚く必要はありません」と。

ダメかな。。。

いずれにせよ、猟犬は普段から鎖やリードに慣らして、その意味を理解させておくことが大切。

そんな私は・・・

家内からは「犬舎で一緒に寝たら」とか「鎖に繋いであげようか」などと言われてしまいますが・・・

大丈夫。

猟犬たちの気持ちは理解しているつもりですが・・・

もしも試験的に試すのであれば・・・

エサは、ビールでいいワン。。。



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次の猟期はリセット

狩猟を始めるにあたり「どんなスタイルで臨むか」と、大抵の人は考えている事でしょう。

私自身も当時を思い出すと、狩猟に対しての様々な期待感が蘇ってきます。

単独忍猟スタイルで山に溶け込み、自然と対話をするかの如く静かなる猟を行う。
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「うむ、なんとも孤高だな」と、ワクワクだったのを覚えています。

ところが現実は・・・

自分の狩猟環境を調べれば調べるほど、そのスタイルが難しいことに気が付きます。

つまり、猟場面積に対して猟師が多すぎる「猟師過密状態」の地域だったのです。

ネットによる他の地域の狩猟環境情報とは少々異なっており、鵜吞みに出来ない事もある。

まずはスタート時点から考えが甘かったことを悟ったのでした。

そこで作戦変更。

「地域の事は、地域の先輩猟師に学ぼう」

そう考えて、とある猟隊の門を叩いたのでした。

今思えば、結果的にはそれが正解だったと確信しています。

本物の猟師たちと偶然的に巡り合い、短期間に多くの事を叩き込まれました。
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我流であれば、おそらく一生かかっても今のレベルにすら達することは出来なかったはず。

自分が狩猟や猟師をナメていた事を思い知った狩猟初年度でもありました。

狩猟の奥深さすらも探ることが出来ない中で、猟師への道がこんなにも険しく困難だとは。

しかし、それは逆説的に考えると、狩猟が一生楽しめる趣味であることの証。

御老体が多いことからも理解できます。

しかし、そんな大先輩方は、私にとってはスーパー御老体。
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その頭脳はコンピュータさながら。

これぞ、量子コンピュータならぬ、猟師コンピュータ。

狩猟における膨大なデータの記憶と、分析能力に驚く私。

猟果がそれを物語っていました。

そんな事を思い出すと、私なんぞは、まだまだド素人狩猟者。

データ分析能力だって8ビット以下、おまけにウイルス感染して固まったまま。

よって次の猟期は初心に返り、可能な限り先輩方に教えを乞うことにしました。

よりスマートで、安全な猟を行いたいのです。

力技の泥臭い猟は、時に危険な場合もありますから。

そんな中で分かったことは、自分は学ぶ事を忘れて我流に走ると、ダメなタイプの猟師であることを。

我流だと、どうにも上手くいかない事が多いのです。

それに「井の中の蛙」にはなりたくありませんし。

進歩が止まってしまう。

よって、他の猟隊との合同猟も行う予定。

それぞれの親方や凄腕さんの考え方を学ぶには、合同猟は良い機会なのです。

次の猟期の目標は・・・

己の狩猟の壁を乗り越える足掛かりを見つけること。

猟場の中には獲物の行動が読めない場所も多いため、今一度、猟場や獲物の習性を把握しておきたいのです。

猟犬たちの命を守るためにも、行き当たりばったりの猟は行いたくないし。
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また、猟場が地域の方々の生活圏に近いため、先読みと初動の早さが安全狩猟の要となるのです。
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まずは、何事においても丁寧な狩猟を心掛けたいと思います。




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