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生きもの二人三脚

豚コレラを侮るべからず

土曜日に中島猪犬訓練所の中島さんと、お話をさせて頂いた時の内容です。

狩猟を取り巻く環境において、その法整備のあり方や今後について、色々と伺いました。

どれも大変に興味深く参考になる内容で、聞き入ってしまう話ばかり。

中でも『豚コレラ』対策については実践的で、かなり参考になりました。

豚コレラ感染は現在、かなり危険な状況にあるそうです。

終息する目処が立っていないのは知っていましたが・・・・・

中島さんによると、豚コレラ感染は、これからも広がるだろうと。

平成4年の感染の時とは状況が違うと言うのです。

まず、その感染の始まりは何だったのか?

DNA鑑定によると、国内で確認された豚コレラウイルスは、中国の豚に感染拡大している豚コレラウイルスと同じ型のDNAだそうです。

おそらくは加熱殺菌の不十分な豚肉製品が、中国人または中国旅行者により持ち込まれ、その食べカスを何らかのルートでイノシシが食べ、感染した可能性が高いとのこと。

またそれとは別に、27年前と比べるとイノシシの生息密度が非常に高くなっており、それが感染が収まらない要因ではないのか?との見解でした。

そして、感染拡大のもう一つの要因は、増え過ぎたカラスによる可能性が高いとも。

一年中、イノシシを追い続けている中島さん曰く・・・

山中で死んだイノシシには、一番最初にカラスが食べに来るのだそうです。

そのカラスは豚舎にも接触する可能性があります。

豚舎のタイプでも、密閉された空調完全完備の豚舎では問題ないのですが、一般的な隙間だらけの豚舎では、カラスの出入りは自由。

つまり豚舎内に豚コレラウイルスをバラ撒くことにもなるのです。

豚コレラウイルスが付着したカラスは空を飛んで、また別の豚舎へも。

死んだブタをカラスが食べに来ることもあるそうです。

どんなに石灰を撒いても、人や車の出入りを制限し消毒をしても、豚舎の周りにイノシシ除けの電柵を張り巡らせても、感染拡大する要因はそこにもあるハズだと。

その他には、イノシシの中には豚コレラウイルスに感染しても発症しない個体もいるそうで、それが要因とも。

死んでくれたら感染はそこで止まるものを、その個体が移動し回ることによって、感染拡大に拍車を掛けている可能性も大いに考えられるそう。

困ったものです。

しかし、養豚業者の方々はそんな呑気なことも言っていられない死活問題!

業界全体が震撼し戦々恐々としている訳です。

では我々捕獲隊員は、国から要請があった場合、どう動くべきなのか?

まずは豚コレラの経口ワクチンを、効率的にイノシシの口に運ばせる方法を教えて頂きました。

漠然とエサに混ぜて撒くだけでは、その殆どが他の動物に食べられてしまったり、有効な状態でイノシシの口に入らないそうです。

私も役場からの要請で3ヶ所の箱ワナを管理しているため、そのあたりは理解できます。
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まずは、経口ワクチン入りのエサを撒く1ヶ月前からエサを撒き、エサ場にイノシシを通わせます。

イノシシが来だすと、エサ場は掘ったり踏み荒らしたりで、もうベタベタ。

そうなると、他の動物たちは近寄らなくなります。

それを見計らい、集中的に経口ワクチン入りのエサを撒くのだそうです。

「10頭いれば10頭ともワクチンエサを食べますよ」と。

夜間監視カメラで何度も状況を観察し、後の調査で、その近辺で捕獲した全てのイノシシに抗体反応があったそうです。

「いいですか、あっきょさん! 1ヶ月前から準備を始めるんですよ!」と、念を押された力の入った言葉に、事の重大さを感じたのでした。

それら要因の対処も含め、国の法の不備と、決まり一辺倒な柔軟性を欠いた対処が、感染拡大を止められないようにも思った次第です。

山中で死んだイノシシを見つけたらどうしよう・・・・・

もはや他人事ではなくなっていることを、中島さんとの会話の中で痛感するのでした。




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次なるパートナーを求めて

これは私のことではありません。

猟犬の組犬についてです。

ヤマがいなくなったことにより、猟犬編制を一から考え直すことにしました。

イノシシ捕獲において、猟犬の組み合わせはとても重要。

今の狩猟スタイルにおいて、コーシンと猟芸(イノシシとの対峙の仕方)が似通った犬を探した方が手っ取り早いと判断。

そうなると同じ犬種が無難かな。

ならば善は急げ!で、三重県に向かいます。

今日の朝一で出発!

新東名を過ぎて伊勢方面に向かって、しばしのドライブ。

一志嬉野インターで降ります。

のどかな田園風景が広がる中、少し走ると、もうこれ。
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田んぼは、全面フェンス。

イノシシやシカが多いんでしょうね・・・大変だ・・・

と思ったら、いきなりお出まし!
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あれ?全然逃げないぞ。
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私が三重県で捕獲許可を取っていないのを知ってるな!

バカにしおって・・・まぁ、今日のところは勘弁してやろう🎵



そしてフェンスだらけの農道を進むと・・・中島猪犬訓練所に到着。

早速、犬舎へ。

ウヒャ~、たくさん!
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で、なんとなくチミに決定!
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血筋はコーシンと同じビーグル×プロット。

生後4ヶ月のオス。

虎毛っぽくってカッコイイ。

プロットの柄が強く出ているみたい。

さて、猟芸はどうかな?

これは、これからのお楽しみ!

中島さんと、狩猟についての雑談を一時間半ほどして、帰路に就くことにしました。
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帰り道、同じ道ではつまらないため、東名で。

運転中、名前は何にしようかと、あれこれ考えます。

う~ん・・・虎毛っぽいから「トラ」はどうだろう。

よし、決定!

家に着いて、まずは新パートナー同士でご挨拶。
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仲良くやってちょうだいよ!
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あ~っ、それにしても往復700kmの一気走りは疲れた。

いや、トラの方がもっと疲れただろうな。
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これから暫くはバタバタした毎日となりそうです。

末永~くお願いしますよ! トラ。




国土交通省を動かした男

これは、地方行政の危機管理意識の欠如に、一石を投じた親子の話です。

ある一級河川の河川敷に設備されている水門。
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これが問題の発端となった現場です。

今では安全に配慮し、柵で囲まれていますが・・・

8年前までは、ここに簡素なアーチポールしかありませんでした。

この水門、落差はおよそ4m。

にも関わらず、すり抜けの出来るアーチポールだったのです。

休日ともなると、この河川敷には小さな子供さんを連れたご家族や、ボール遊びをする小中学生が集います。

この水門が建設されて30年以上。

当然、役場には多くの安全対策に関する要望が寄せられていました。

ところが・・・・・

役場は長年に渡り、その件に対処してくれなかったのです。

と言うより、対処できなかったのです。

一般的な河川の場合、その管理権限は国土交通省にあります。

よって、役場は国土交通省と協議。

しかし、国土交通省の返答は、こうだったそうです。

「この様な水門は一つの河川だけでも無数にある。対策を取れと言うのならば、この公園は閉鎖する」と。

市町村レベルでは、これが精一杯、どうにもならなかったのでしょう。

国土交通省は予算外のモノに対しては、前例を作りたくなかったようなのです。

そんな状況の中、9年前のある日、ついに事故が起こってしまいました。

小学生の少年が、ウッカリとその水門に転落してしまったのです。

幸いにして命には別状はなかったのですが、酷いケガでした。

救急車で搬送される際、同乗した私に保険証を渡してくれた家内。

その家内の手が、震えていたのを今でも覚えています・・・って、うちの息子じゃん!
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一週間後。 左膝は、まだ曲がりません・・・



夏祭りが催されている最中、いつもは設置してあった照明がそこには無く、真っ暗。

「危ないなぁ~」と思っている矢先の出来事でした。

私はすぐさま、夏祭りの警備にあたっていた警察官と消防署員に要請。

その水門周への照明設置と簡易安全柵の設置、それと見張りを立てるようにと。

なんで私が指示を出さなければ動かないの?とも思いましたが、その時は必死でした。

グッタリした息子を抱きかかえながら、心の中で「死ぬなよ!」と叫び続けていましたし。



そして後日、役場や自治会と話し合いを持ったのです。

役場担当者は再度、国土交通省に掛け合ってみると約束。

すると1年後、工事が行われ、やっと安心できる柵が設置されたのです。

それ以来、息子はこう言います。

「オレのおかげで、あの柵が出来たんだぜ!」と誇らしげに・・・

た、確かに・・・(-_-;)

国土交通省に重い腰を上げさせる切っ掛けを作ったのは間違いないのですが・・・。

あの日、息子が転落しなければ、他の子が転落していた可能性もあったかと思うと・・・

これはこれで良しと考えています。

また、私が自治会などの役を引き受けることがある時は、いい教訓にもなりました。

催し物などで発生した事故は「事故が起きた!」ではなく「事故を起こしてしまった!」との意識を持つことが重要であると感じたからです。

その意識を忘れないことが、事故防止への一番の近道なのでしょう。

「危機管理意識」

これは何事においても大切。

息子の額の傷跡を見るたびに、気が引き締まります。

「もう、落ちるなよ!」
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受験勉強を頑張る、高3の息子の後ろ姿を見て思うのでした。




私の2000万円問題

「老後95才まで生きるとしたら、夫婦で2000万円は用意しておかないと、年金だけでは生活していけませんよ」と金融庁。

その発表に慌てる与党。

それに対して、揚げ足を取る野党。

「与党はそんなに狼狽えなくてもいいのに・・・」

「野党は相変わらずだなぁ・・・」

と、思ってしまいます。

国民の殆どは「2000万円なんかじゃ全然足りないよ!」と分かっていますから。

今後、年金給付額が徐々に減っていくであろう状況においては・・・・・

その倍あっても足りないかも。

ですから皆さん、お年を召されても働き続けるのです。

それに働いていた方が、ボケ防止や健康にもイイでしょうしね。



私は職業柄?(狩猟は趣味だな・・・)大勢のご年配の方々と交遊が・・・
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あり過ぎるくらい、あります。。。

よって先輩方の現状を、これでもかと言うほど目の当たりにしている毎日なのです。

どうでしょうか・・・・・

貯えがシッカリとあって、悠々自適な方は3割くらいかな。

あとの方は「生涯現役!」を望む望まないに関わらず、働き続けています。

私が年金をいただく頃には、今の給付基準の半分もあるんだろうか?

同時に、若い世代の方々には申し訳なく思ってしまいます。

働いても働いても税金や年金で給与の手取りは増えず・・・

雀の涙にならねば良いのですが。

そんなことになったら、自分の生活だってままならないですよね。

したがいまして、そんな状況に少しでも報い、役に立てるように狩猟を始めた訳です。

その場合は有害鳥獣捕獲などの『捕獲業務』が主となりますが。

つまり定年退職後の仕事として、職業ハンターも視野に入れています。

若い方々には一生懸命に働いていただき・・・

爺さんの私は農業や林業の後方支援。

得意なことを仕事とするのもアリでしょう。

その頃にはジビエ肉などの需要がどのくらいあるのかは分かりませんが・・・

あるのならば、そんな方面で頑張っても良いかもしれません。

そう考えてみると、田舎には田舎の生き方がありそうです。

老後が少し明るくなって来たぞ!

なぁ、カノよ。
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「貯金しておいたらぁ?」

・・・・・(-_-;)




犬舎改造計画

ヤマ亡き後、一から猟犬編制を考え直すことにしました。

残念ながらヤマとコーシンとの間で、ブリーディングが叶わなかったこともその理由の一つ。

何れにしても、これから頭数が増える可能性があることを考えると・・・・・

狭い庭では新たなる犬舎増設は無理。

かと言って、今の二ヵ所の犬舎だけでは、将来的に飼育に支障をきたすでしょう。
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発情期や相性の問題により、ケンカをしてしまうことも多いからです。

猟犬とは、そんな気質の犬が多く、一度ケンカをすると仲直りできないことも。

今現在、我が家の猟犬たちも同時期に発情してしまったため、念のため別々に。
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よって、大きい方の犬舎に仕切りを設けることにしました。

ザッと見て3区画は作れそうですが、今回は2区画にしておきます。

それには理由が・・・・・

「あれ?2頭なのに、なんで3区画もあるの?」なんて誰かさんに詮索されないための策。

狩猟に熱を入れ過ぎたが故、家庭が崩壊してしまった先輩方を何人も見ている昨今。

物事には段階が大切だと言うことを悟ったからです。

それでもダメなときはありますが。。。なぁ、コーシン。
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知らない・・・・・



さて、犬舎の敷地の形を考えると、少し歪な区画割となってしまいますが、これは仕方なし。

こんな場合は迷わずに、フレキシブルな単管パイプで作ることにします。

まずは頭の中で設計図を描き、現場とすり合わせ。

スケールで長さを測り、単管パイプの本数を計算。

あとは、チップソーでカットしながら組み立てるだけ。
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書くだけだと簡単な作業なのですが・・・

実際に敷地が対称的な作りでないと、少々面倒なのです。

なんとか7月中には完成させたいところ。

捕獲業務が実施されない7~9月の間、休日にどれだけ様々な作業を進められるのか。

今年は作業に支障をきたすような猛暑の夏になりませんように。




昭和のバイクの更なる復活計画

『スペイシー125ストライカー』

何とも宇宙に飛んでいきそうな車名。

カタログだって宇宙人と写ってる。
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そう、宇宙人の乗り物と見紛うばかり! 矢追純一の世界!・・・お元気なのかなぁ・・・・・

これは今から36年前に製造されたホンダのスクーター。

今、雨の日の通勤に使っているのは、これの250㏄バージョン。
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ボロボロで見る影もありませんが・・・・・

一方で、このスペイシー125ストライカーは車名が示すように125㏄。

任意保険はファミリーバイク特約の恩恵を受けられる排気量。

おまけに何台所有していても保険料は同じ。

125㏄のバイクは、とてもお得な乗り物なのです。

よって、我が家で眠ったままのストライカーを是非とも復活させたい!
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恰好は先ほどの通り、懐かしい昭和の工業製品デザイン!

極め付きは、このリトラクタブル・ヘッドライト!
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今となっては超レアなオシャレ装備!?

あのランボルギーニ・カウンタックは、これをマネしたのです。。。向こうの方がだいぶ先だな。

この車両は実は三個一(さんこいち)。

放置・事故など、悲運に見舞われた車両3台を解体屋からタダ同然でもらい受けました。

そして、それぞれ良さそうな部品を合体させて1台に。

5年くらいは乗っったかな。

ところが、そのうちにエンジンと電気系にトラブル発生。

放置して、かれこれ4年が経ちました。

しかし「このままではいけない!」と、一念発起。

先日のXT250を復活させた勢いで、ストライカーも復活させたい!
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幸いにして程度の良いエンジンがもう1機あるため、乗せ換えることにします。

作業自体は面倒くさいだけで難しいモノではないのですが・・・・・

時間がナイ・・・・・

捕獲業務が終わる7月になったら作業を開始するかな。

やっぱりバイクは走らせてナンボ。

シュワちゃんと戦った、サラ・コナーのように颯爽と走らせたいものです。
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ノーヘルはダメだけど。。。




シカカツとニクサス

私の好きなシカ肉の食べ方の一つ『シカカツ』

さっぱりとした肉質にフライの衣が合うように思うからです。

それこそ何枚でも食べられる感じ。

今日も作ってみることにしました。

出来れば、軟らかい背ロース肉で作りたいところですが、今回はモモ肉で。
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個体差や後処理の違いで肉質が異なるため、念のためにコレを使用します。

以前にも紹介させて頂いた『ニクサス』
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レクサスでもネクサスでもないニクサス。

我が国が誇る刃物の町、岐阜県は関市のメーカーから生まれた肉のスジ切り器。

このニクサスが開発された経緯は・・・

児童数の減少により、彫刻刀の売り上げが減少。

そこで新たなる活路を模索。

その中で彫刻刀を作る技術とその利点を生かし、ニクサスが誕生したのです。

先っぽなんて彫刻刀そのまんま。
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コレが超スグレモノ。

従来のスジ切り器よりも効率よく確実にその役目を果たします。

ただし、注意点も。

調子に乗ってカシャカシャとヤリ過ぎると高性能が故、お肉がグダグダに。

それと焼肉やステーキ肉に使用するのもダメ。

軟らかくなり過ぎて食感がその食べ物と合致しません。

入れ歯のお年寄りが食べるのならばOK!ですが。

あくまでも『とんかつ専用』なのです。



話はシカカツに戻ります。

モモ肉は少々硬い場合もありますのでニクサスを使用。
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そうしたら、軽く塩コショウして生パン粉を付け、170℃前後で揚げます。
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あまり揚げ過ぎると、例に漏れず肉が硬くなりますので、余熱で肉の中央部に火が通るくらい。

さぁ、出来上がり。
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早く食べよう!

旨い!

シカカツは冷めても、そのままで美味しくいただけます。

残りは、家内と息子の明日のお弁当行きとなるでしょう。

ところでニクサスの「シカカツ専用」なんてあったら面白い!

ニッチだなぁ。。。



追記

次の日、お弁当に入れても尚、残ってしまったシカカツ。

カツ丼にしてみました。
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これも我が家では定番です。

ミツバをを買い忘れましたが、味はバッチリ。

旨い!

家内の腕前に感謝です。

・・・たまには褒めておかないと・・・(-_-;)



恥ずかしい管理捕獲

台風一過のような天気となった日曜日。

風はまだ少し残っているけれど、日中は暑くなりそう。
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こんな日は汗をかいた後に川にでも浸かりたい。

な~んて思っていたら服を着たまま本当にそうなってしまい、皆の前で大恥をかくことに。

嗚呼、恥ずかしや・・・・・



この日もニホンジカとイノシシの管理捕獲を実施。

我が家の猟犬たちは発情期がまだ終わらないため、私は今回もタツ役へ。

作戦の打合せが終わると同時に、各員、配置場所に散っていきます。

さて、今回の私のタツは・・・・・

近頃、全く獲物が来ない場所。

その洞筋のタツ全員は、どうにも士気が上がりません。

過去には獲物が頻繁に使っていた通り道も、今は使っていない感じ。

この洞で土砂崩れが起きたからかな?

タツ配置に着く間も獲物の足跡を確認しますが、シカのモノが一つあっただけ。

以前は足跡で、どこもベタベタだったのに・・・・・

山を登って行くと、土砂崩れの生々しい跡に行く手を阻まれます。
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こんな場所の登りやすい脇を獲物たちは通るため、そこを狙う算段で私はこの場所に配置。

さぁ、計算通りに上手くいくかな?

それにしてもあの一本橋・・・・・渡ってみたいなぁ。
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いっそのこと、あの丸太の中央に跨り、獲物を狙うというのはどうだろう。

まさかそんなところに敵が潜んでいるなんて獲物たちは思うまい フッフッフッ・・・

それとも、おサルさんに「通り道だから、どいてくれる?」なんて言われるかな アハハハ・・・

なんて妄想に耽っていたら一回戦目が終了。

山々に銃声が木霊して「止めたよ」なんて無線が数回。

獲物の引き出しを手伝いに向かいます。

そして、二回戦目も私の配置したタツにはシカは現れずで終了。
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結局、ニホンジカ5頭とイノシシ1頭を捕獲。

私はもっぱら、仕留めた獲物の引き出し係として頑張ります。

皆で獲物を山から下ろしたり、谷から引き上げたり。

エッチラ オッチラと手際よく次々と引き出します。

日中の気温上昇に伴い、汗だくになってしまいました。

集合場所に向かう途中、農家の方々からは労いの言葉をいただき、疲れもどこかへ。

「さっき、鉄砲がたくさん鳴ったようだけど、捕れました?」

「シカとイノシシを捕りましたよ」

「あぁ それはご苦労様です。助かります」

そして・・・・・

「どうです?近頃、農作物の被害は減ってきましたか?」と、伺ってみると・・・

「いやいや、まだまだ。相変わらずだよ」と農家の方々。

続けて「大変でしょうけど頼みますね」と言って下さいました。

山裾から離れ、道路を越えた民家横の畑なのに・・・

電気柵の中で農作業をされ、それ越しでの会話だったのが印象的でした。

一回戦目終了後、本部に戻り着替えた私。

二回戦目終了では河原の解体場で着替えて、最後の一仕事。
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県に提出する獲物の写真を撮った後、解体に取り掛かります。
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ところが、こののちに私は捕獲員全員の笑い者となることに・・・・・

解体作業が進む中、上流の解体グループが誤ってシカの残滓を川に流してしまったのです。

桃太郎の桃のように「どんぶらこ~ どんぶらこ~」と、流される残滓。

「あぁぁぁぁ・・・・・」全員がそれを目で追う中、隊長が大声で・・・

「あれはダメだ~! 誰か拾え~っ!」

その声に真っ先に反応し、川の浅瀬を渡り・・・

下流に向かって水しぶきを上げながら猛ダッシュする、オジサンなのに最年少の私。

残滓の不法投棄はダメなのです。

こんな時、磯釣り用のブーツがモノを言います。

そう、長靴ではなくブーツなのです!

ちょっとやそっとじゃ水なんて入りません。

目の前に迫る残滓・・・・・

と、その時、浅いと思って踏み入れた砂地の浅瀬。

それが底無し沼のように私を飲み込んだのです。

ズボォォォ・・・・・!

腰近くまで川に沈みこんだ私は必死でそこから抜け出し、さらに残滓を追い・・・

川の中央でそれを確保!

河原でそれを見守っていた全員の歓声が聞こえて来ます。

「ん?」 なんか違う。

よ~く聞いてみると歓声ではなく笑い声。

中には腹を抱えて笑っている者まで。

開き直った私は残滓を片手に「とったど~!」と、皆の方を向いて右手の拳を青空に向かって高々と突き上げます。

河原は大ウケ。

嗚呼・・・恥ずかしいやら情けないやら・・・

気が付くとブーツはただの長靴と化していました。

・・・と、次の瞬間、自分の血の気が引いていくことにも気が付きます。

「コ、コンデジが~!!」

慌てて太もも横のサイドポケットに入っていたコンデジを確認。

「あぁ・・・濡れている・・・水死しちゃったかなぁ」

もう手遅れだと思いつつ、電池を取り出し中を見てみると水滴はナシ。

とりあえず、コンデジの外側の水滴を拭き取り、乾かします。

肝心の私自身も乾かしたいところでしたが、着替えは・・・もうナシ。

ビショビショのパンツのままで解体作業に復帰。

早く家に帰りたい・・・



その後、なんとか家にたどり着き、恐る恐るコンデジのスイッチを入れてみます。

「ピッ ピッ」と、いつもと変わらぬ軽やかな電子音と共にレンズがせり出しました。

大丈夫そうなので、シャッターを押してみます。
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問題なし。

良かった良かった。

コンデジは水に濡れても大丈夫な、3秒ルールならぬ30秒ルールがあるのでしょう。。。



この日も色々とありましたが、振り返ってみると・・・

途中で話をさせて頂いた農家さんからの感謝の言葉に、全てが救われたような思いがします。

これからもその言葉に添えるよう、安全第一で捕獲業務に臨もうと心に誓うのでした。




真竹とイノシシ

この時期、山裾の真竹林の近くで夜中に耳を澄ますと・・・・・

「ガサガサ パキパキ」と、あちこちでイノシシが真竹のタケノコを食べている音がします。

明るくなってからその食べ跡を観察してみると・・・

そこには「なるほどね」と思わせるタケノコの残骸が。

孟宗竹のタケノコとは食べ方が異なるのです。

土中にあるものは孟宗竹と同じで、それこそ根こそぎで食べてしまいます。

ところがある程度、地表から伸びたタケノコは中央部のみ「パクリ!」

根元は硬いため食べないのは分かりますが、先端部も20cmくらい残しちゃう。

実際に真竹の先っぽは、殆どが皮。
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でも、人が食べると「軟らかくて美味しい」となる先端より少し下の部分も食べ残しています。

皮を剥くのが面倒なのかな?

その少し下から、地表に出ている軟らかい部分までを上手に食べています。

孟宗竹のように、先端も皮を剥いて食べるようなことはナイ感じ。

その食べ跡を見るたびに「なるほど、イノシシもそうなんだ」と感心するのです。



前日に収穫し、すぐに下茹でした真竹のタケノコ。
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いつもの一般的な味付けでコトコト煮て・・・・・
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出来上がり。



食べてみると、やっぱりこの筒部分が旨い!
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風味もシッカリしていて、なにしろ食感が最高!

真竹タケノコ、バンザイ!

この筒の部分を、どこまでも食べたい!

でも、欲張りは禁物。

根元に近い部分を食べると、ガビ~ン!となって後悔することに。

もはや、そこは竹なのです。

そうならないためにも、イノシシ先生を見習います。

包丁で切っていって「サクッ!」ではなく「ザクッ!」と切り難く硬い部分になったら・・・

その少し上から下は思い切って捨てること。

硬い部分はどんなに茹でても竹のまま。

著しく食感が悪いのです。

それさえ気を付ければ、梅雨の味覚「真竹タケノコ」の食味を存分に堪能することが出来ます。
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孟宗竹タケノコのように堀具や容器を持たずとも、手ぶらで山に入ってポキポキと収穫。

タケノコは小脇に抱えてで、運び出しも楽々!

あとは根元に近い下の部分を欲張らないこと。

これは、いつも収穫している人にとっては基本中の基本かもしれませんね。

山に入ると、動物たちから学ぶことが沢山あるのです。





真竹は今だけ

もたもたしていると、真竹が終わってしまう!

との焦りから、雨天の間隙を縫って真竹のタケノコ収穫に向かいます。

猟師小屋の近くに良い真竹の竹林があるため、軽トラ乗ってGO!

海沿いを走っていると、富士山が目に留まります。
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このところの雨続きで、なんだか久しぶり。

雪化粧に逆戻りしてしまいました。

海もキレイだなぁ。
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さらに進むと・・・・・
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喫茶店かな?営業しているんだろうか?
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勇気が無くて未だに入ったことがありません。

せっかくなので、ついでに「The Old 軽トラ」
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程なくして真竹の竹林に到着。

この場所はイノシシに荒らされることなく、あちこちにタケノコが生えています。
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真竹の収穫方法は孟宗竹とは異なり、ポキッ!

手で曲げて折れたところから先を収穫します。
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楽ちんなのです。

そしてタケノコの下処理をするため、猟師小屋へ向かいます。

で、到着。
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さっそく皮を剥いて・・・・・
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茹でます。

真竹は孟宗竹のタケノコのように米ヌカを入れて茹でなくても、大丈夫。
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エグ味が殆ど気にならないレベルなのです。

茹でている間に果樹に付いた毛虫捕り。

このプラムの木なんか酷いもの。
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捕っても捕っても毛虫が・・・・・

そのせいか?今年は実が12個しか見当たらないのです。

これは私の実!
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名前を書いておこう。。。



ところで職場の皆は中国に付いたかな?

「天安門事件から30年」の年。

中国政府がピリピリしていると言うのに・・・なんで・・・・・

そんな国に社員旅行なんかに行くんだろう?

それもチャーター便の大所帯で。

行かなかった私は、おかげで3連休。

青天の下、小屋でのんびりと真竹のタケノコを茹でるのでした。

明日はまた大雨になるようです。