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生きもの二人三脚

カノの初陣はいつにしよう①

猟犬は生後何ヶ月あたりから実猟に出すか。

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「勢子の考え方」「犬の訓練状況」「犬の状態」によって様々。

私の周りのほとんどの方は「早い方が良い」とのご意見。

まだ耳タレ

でも、それでいいのかな?「物事には何でも順序があるのでは?時間を掛けなくてはいけない事もあるのでは?」と、考えてしまう私。

私は一つの参考例として、盲導犬や警察犬の育成過程に学ぶべきところがあるのではないか、と感じています。

どちらも1年間は一般家庭で飼育し、基本的な躾や人との距離感などを犬に学ばせます。

その後始まる本格的な訓練に向けて、体力や知力そして社会性が整う期間が「1年間」なのでしょう。

では、猟犬は?・・・本来は同じなんじゃないかと・・・。

ただし猟犬の場合は、体力や運動能力そして反射神経などを養うため、散歩コースに「山中」を加える必要がありますが。

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そんな中で、山中の雰囲気・音・ニオイに慣れてくれれば、勝手に捜索を始めだします。

そして山中での動きに「速さ」が付いてきたところで、先導犬と一緒に山に入れるのです。

その段階では、犬たちを入れる山の見切りをある程度して、獲物がいないと思われる山での訓練に止め、先導犬との協調性を確認。

その段階を踏んでから「実猟初陣!」でいいと私は感じております。

ですから、現在生後6ヶ月のカノにとって、私はまだパピーウォーカー!?

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カノは同じ時期のコーシンと比べると、少し寂しがり屋さん。

しかし山中の訓練では一変、捜索範囲やその関心度はコーシンと同等かそれ以上。

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現状での山中での反応は申し分ありませんので、もうそろそろ先導犬と一緒に、山に入れてみようと思っています。

この寂しがり屋な性格はどの犬にもあるでしょうし、協調性の表れだと私は感じています。

協調性が獲物を捜索したり、追うときの犬たちの足並みを合わせ、また勢子の指示を仰ぎに来たり、回収のときにも役立っていると考えます。

先日の猟でヤマとコーシンを受傷させてしまい、特にヤマの傷が深かったため、しばらくの間はベンチ入り。

コーシンの方は幸い浅い傷で済んだので、次週はどうかな?

猟隊の皆に頼んでシカ山でもやらせてもらって、コーシンを先導犬でカノの初陣とするかな?

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焦ったが故に、仕込みに失敗したり悲しい事になってしまった老師匠の経験談をいつも伺っていたので、考えてしまいます。

勢子師匠もおっしゃいます「4・5ヶ月(生後)の時にイノシシを追い回して、これは行けるぞ!と思った犬に限って直ぐにやられて死んじまうだよな」と。

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ど~しよう!

「リンダ。こまっちゃう♡」

私の頭の中には、山本リンダさんの名言とともに、少年期の恐怖体験が脳裏をよぎるのでした。

続く

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1月28日の猟

猟隊皆で手分けして行った朝の見切りでは、猟場を絞り切れなかったため(私が見切ったお寺もダメ)、この日は「ガラ掛け」で猟を行うことに決定。

「ガラ掛け」とは見切りを行わずに経験的に猟場を決め、猟を行うことを、こちらではこう呼びます。

ガラ掛けを行う猟場は、見切りが出来ない猟場。

つまり広大な猟場が多く、今猟期初めて猟をするところばかり。

昔、タツ役が今の3倍もいて、勢子も数人いたときはその猟場でよくやったそうですが・・・。

よって、獲物は必ずと言っていいほど起きます。

しかし危険も多いのです。

どんな獲物がいるのかが、分からないから。

「もののけ姫」に出てきそうなイノシシがいるのです。(あそこまで大きくはないけれど)

楽観的な私の猟隊は、私も含め目の前の猟やりたさに、そんなことを気にしない人がほとんど。(いつもガラ掛けのリスクを訴え、静止してくれている勢子師匠は風邪でお休み)

本当は「今日は止めよう」ぐらいの決断が、私を含めた皆にあってもいいのかも。

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猟の方はと言いますと、ヤマとコーシンを放してものの2・3分でイノシシが起き、2頭は山中イノシシを追い回し鳴き止めたものの、鳴き止め現場まで1㎞あまり。

「山、広すぎ!」

私はタツに、GPSとマーカーから推察できる犬たちとイノシシの様子を、無線で実況中継しながら鳴き止め現場に軽トラで向かいます。

その現場は、山の登り口近くにある学校横の酷いボサの中。

いくら日曜日で人はいないとは言え、学校横。

そしてバックストップも無し。(バックストップとは、どんなことがあっても弾が必ず止まる土手や斜面などのこと)

酷いボサの中で犬たちとイノシシの攻防が続く中、私はほふく前進しながら進むもボサが酷過ぎてイノシシは見えず。

犬たちの位置も把握できません。

学校を背にしたいのですが、場所的にそれが出来ず、この場での仕留めを諦め地面に向けて起こしを撃ちます。(鉄砲の音でイノシシをビックリさせて飛び出させる)

するとイノシシはボサから飛び出し、ヤマとコーシンもそれを追ってまた山中に逆戻り。

あちこちで鳴き止めをしながらタツに追い立てて行ったものの、最終的にはイノシシにタツを切られてしまい猟は終了。

良く見ると、回収したヤマの胸のあたりから血が滲み、キバで切られています。

コーシンも右太ももを切られてしまいました。

飛び出したときにチラッと見えたイノシシは、20貫に満たない中サイズでしたが、やられてしまいました。

山が広すぎて、鳴き止め現場に急行できなかったことが、犬たちがやられてしまった原因の一つ。

そして一番の原因は、私の慢心にあったと思います。

もしこれが、30貫クラスの大イノシシであれば、こんな程度では済まなかったでしょう。

「ガラ掛けは、やるな!」と、強くおっしゃられていた老師匠の言葉を私は思い出し、反省します。

凍結や乾燥で地面はカチカチ、落ち葉下もカサカサ。

これからの時期は、見切りがもっと難しくなります。

でも猟はしたい・・・・・。

猟とは、そうしたジレンマとの戦いでもあるようです。

ヤマ・コーシン、すまん!

墓荒らし

王様や皇帝の墓の財宝を狙って・・・・・と言う話ではありません。

墓地を荒らすイノシシの話です。

どのように荒らすのかと申しますと、墓石の回りの土を掘じくったり、墓地に隣接する土手で仕事(土中のエサを食べるために土を掘じくる)をした際に土手を崩したり、落石させて墓を傷めてしまうのです。

イノシシに悪気は無いのですが・・・・・。

墓地を管理するお寺としては深刻な問題。

(偵察写真①)
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(谷間にあるので、土は常に湿っています。温かくなるとミミズがいっぱい)

よって、ご住職とイノシシの攻防が日夜繰り広げられています。

イノシシ軍の戦術は主に夜間奇襲攻撃。

その攻撃に対して住職軍は、基地周辺や内部の敵侵入経路に地雷原を設置。

(偵察写真②)
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(草木を刈ってイノシシを近づかせません。まさに地雷原)

これで、イノシシ軍は容易には攻撃を仕掛けられなくなります。

(偵察写真③)
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(侵入経路にコンクリ。この上は歩きません。これも地雷原)

戦線をイノシシ軍側に広げ、イノシシ軍の前線基地を山の尾根向こうに後退させたところで、住職軍の下に強力な援軍が馳せ参じます。

(偵察写真④)
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(前日まで居たと思われる寝場。これが前線基地。この尾根向こうがお墓)

その強力な援軍とは、言わずもがな我が老兵軍。

我が軍の兵士は走ることが出来ない(心臓が止まってしまう)ので、気持ちだけ馳せ参じます。

まず戦いを始める前に、我が軍の中で一番若い私が斥候(せっこう)でイノシシ軍の状況把握に向かいます。

掃討作戦の前に敵軍に奇襲攻撃を掛けるため、静かに敵基地の回りや補給路の地面を確認。

敵兵士の足跡で、状況を判断するのです。

どうもイノシシ軍は昨晩、前線基地から一歩後退している様子。

後退する途中で、竹藪で食糧補給。

敵兵士は竹藪の土中に、小さなタケノコが、もう既にあることを知っているのです。

私は司令官殿に「ダメダメ!抜けちゃってるよ~!」(イノシシがこの寝場から既に移動している)と伝えます。

実戦師匠(司令官)は「わかった~!今日はお寺、よすべ~!」と返信。

私は、お寺にその旨を伝えます。

「また頼むね~♪」と、ご住職。

来週まで一時休戦。

「さぁ~次行こ~!」

(偵察写真⑤)
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(いい景色だな)


シカの知能と好奇心と…狩猟

「鹿せんべい」でお馴染みの、奈良公園のシカたち。

人を全く恐れません。

山中にいるシカたちも同じニホンジカ。

基本的に人への反応はどちらも同じなのです。

危険ではないことが分かると、人なんかヘッチャラ。

逆に人は危険だと分かると、その気配で一目散。

ですから、タツ役の人たちが雑談をしながらハイキング気分で山を登っていたりすると、その間にシカはワラワラと猟場から出て行ってしまいます。

しかし、シカもこれだけ増えると、そのほとんどが人間未体験。

大半のシカは、人の気配を感じただけで逃げて行きますが、中には逃げたものの直ぐに立ち止まり、こちらを観察しているシカも多いのです。

立ち止まるシカは、初めて人を見たか、見たものの何の危害も加えられなかった個体でしょう。

その状況や経験によって、自在に人への対応を変えられるシカは、やはり知能が高いと言わざるを得ません。

猟においては、この高い知能の先手を取ることが大切だと考え、シカよりちょっとだけ知能の高い私は必死に策を練ります。

管理捕獲で私がタツ役の時は、猛スピードですっ飛んで逃げるシカに対しては、急いで銃を向けて矢を掛けるしかありません。

また、ショロ抜け(勢子や猟犬の気配を感じてさり気なく逃げる)して来てゆっくりと歩いているシカに対しては、そ~っと銃を向けて木と木の間を通るタイミングで矢を掛けていました。

ここで、もっと確実な方法はないかと考えます。

そう、シカの旺盛な好奇心を利用するのです。

ゆっくりと歩いているシカは何か物音がすると、その音の元は何かを確認しようと必ず立ち止まります。

それではと、ショロ抜けして歩いているシカを見つけて大実験!してみました。

シカがそのまま進んで通るであろう木と木の間に、あらかじめ銃を向けて狙いを付けておき、シカがその狙いを付けた場所に差し掛かったら足で「ガサッ!」とやります。

するとシカは「ピタッ!」と立ち止まり、音の元を確認しようとこっちを見ます「うんっ?何だろか?」と。

これを口笛で「ピィ~!」とやってみても「ピタッ!」

言葉で「こっちだよ~ん♪」とやってみても「ピタッ!」

そして矢を掛けます。

捕獲業務おいて、私が貢献できていると実感できる唯一の瞬間なのです。

今後もどんな音や言葉がシカの好奇心をくすぐるか試してみたいと思いますが、「ニャ~♪」はいいかもしれないけれど「ワンワン!」はダメだろな。

ちなみに、同じことをイノシシにやると立ち止まるのは一瞬で、後は反転猛ダッシュで逃げられさようなら。

大実験のことを言うと怒られることは必至だったので「イノシシの足が速すぎて矢を掛けるタイミングを逸しました!」と、その時はウソをつきました。・・・・・それでも怒られましたが。

シカはしばらく止まっていて、そこから逃げ出すのも猛ダッシュではありません。

シカは自分の足の速さに、よほどの自信を持っているのでしょう。

猟犬から逃げるときも、走りやすい開けたところを抜けようとし、狩猟中に集落や車との事故が多いのも、その習性が要因となっています。

これらのシカの習性を逆手に取り、より効率的で安全な捕獲方法があるはずです。

巻き狩りと網猟(シカ仕様)を併用した捕獲方法もあるかもしれません。
(現状の鳥獣捕獲法では無理かな?)

何か良い方法はないものか?真面目に考えてみたいと思います。

シカ・シカ・シカ

猟の度に猟場周辺の農家の方々が、害獣による被害の現状について、私たちに訴えかけてくるのです。

そんな中で、やはりシカによる被害は深刻なようで、どの農家の方々も頭を抱えています。

ミカン農家さんの場合は、ミカンの苗木や若葉をシカに食べられてしまうことが、一番のダメージ。
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被害に遭うと、収穫木でも実を付けなくなってしまいますし、酷い場合は木が枯れてしまいます。
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野菜農家さんも大変なようで、柵を高くしようが、電柵を張り巡らせようが「そこに美味しい物が有る」と分かると、力ずくで突破・侵入され、根こそぎ食べられてしまいます。

これはシイタケ農家さんも同じ。

害獣対策はワナ猟だけでは対処しきれませんので、農家の方々に許可・確認をとった上でミカン山(ミカン畑にある山)やシイタケ山で巻き狩りを行います。

狩猟者と農家の方々は「共利共存関係」に、ならざるを得なくなってきているのかもしれません。

たとえ猟で獲物を逃してしまっても、猟犬で山をかき回すと、シカは高いところに逃げてしまいしばらくの間は被害が無くなるそうです。

しかし、シカが来なくなるのはせいぜい2週間。

次から次へと別のシカが来るのです。

おそらくシカの知能は、かなり高いのではないかと思われます。

生息環境やエサに対する適応能力や学習能力は侮りがたいものがあり、好奇心も旺盛。

生物学的な見方をしてみますと、単純に脳の大きさで知能を測ることは出来ませんが、体重80㎏ほどのシカの場合、その脳の大きさは大人の握り拳ほどもあります。

(キモ可愛そうなので画像は自粛しますが、食べるとクリーミーで美味しいそうです。 ・・・・・言っている事がちぐはぐでスイマセン)

これは、同じ大きさのイノシシの脳と比べると倍ほどもあり、シカの適応能力の高さによる急激な生息頭数の増加がうなずけるのです。

ちなみに、「イノシシはおバカさん」と言っている訳ではなく、適応能力に関しては頑ななところがあり、そこがシカより劣っている思われ、脳の大きさに表れている様に思います。

そして、この差が生息頭数に大きく表れているのではないでしょうか。

日本におけるその生息頭数は、イノシシが推定約100万頭に対し、シカはその3~4倍とされていますが、こちらの地域で狩猟を通して見る限りは、更にその倍ほどのシカが生息しているように感じます。

正しくシカだらけ。

もう少し猟の効率を上げなければ、シカの生息頭数の増加が抑えられないでしょう。

今後は、熱感知センサーなどの活用も、視野に入れなければいけないのでしょうか?

いっそのこと熱感知センサーをドローンにくっ付けて、上空よりシカの生息を確認し、ついでにそのドローンから音なんか出してシカを驚かせてタツに追い込む・・・・・。

そこまでやったらズルいな~反則だな~・・・・・。

それより、そんな高価なドローンを墜落させたら大変だ!

ヤメとこ。

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(ヤマ:アホなこと言ってないの!オレらに任せといて!)(私:ハイ!)


猪ベーコン作り③

物置部屋で静かに風乾すること3日間。

この3日間としたのは、肉表面の様子を毎日確認しながら判断しました。

1日だけ雨(雪)が降り、湿度が上がったために3日としたのですが、そうでなければ2日で十分だったと思います。

かなり寒い日が続いたので、肉の腐敗などの心配は皆無。

肉表面を触って「もっちり サラサラ」な感じで、手に水分が付かなければOK!

では、次の工程「燻煙」に取り掛かります。

「取り掛かる」と言っても燻製器の中に肉を入れて、スモークウッドに火を付け、同じく燻製器の中に入れるだけ。
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燻煙材に関しては、今までに色々なモノを試してみました。

一般的なチップを使う場合は、金属製の燻製器で熱燻や温燻を作るのであればいいと思います。

しかし、この線香の親分みたいなスモークウッドの手軽さと燻煙量の安定性、そして燻製器内の温度がほとんど上がらないという事が分かってからは、もうこれ一本。

なんちゃって冷燻が出来ます。

燻煙時間も、カットして使えば調節は自由自在、かなり正確です。

ですから、スモークウッドに火を付けて「おやすみなさ~い!」と、私はいつも寝てしまいます。

燻製器

朝起きて、自分がスモークされていたらイヤなので(そもそも起きられないな)、もちろん燻煙室内の防火対策は、しっかりと施してあることは言うまでもありません。

いつも猪ベーコンは燻煙を2時間かけますので、今回もその長さにスモークウッドをカット、そしてガスコンロで着火し燻製器にセット。

ちなみに燻煙材の木の種類は、今までにクルミ・ヒッコリー・ナラ・サクラを試しましたが、今は何でも無難に使えるサクラを使っています。

スモークウッドから出る煙が安定してきたら、吸気口と屋根下に設置された排煙ダクトの開度を調整して、今回も私はおやすみなさい。

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そして燻煙が終わった後は、燻製器内に燻製品をそのまま1日ほど放置しておきます。

冬ですとそれが可能ですが、気温の高い季節は冷蔵庫内へ。

燻製はデキたてより数日間ねかせた方が、燻煙成分が肉になじんでより美味しくなります。

よって、2・3日はガマン。

私は、これも工程に加えて「ねかせ」と勝手に言っております。

感覚的に言いますと、燻製品として「旨い!」「いい風味!」と感じる成分がシッカリと肉になじみ、「苦い!」「渋い!」と感じる成分は無くなります。

これは、スモークドサーモンやエッグなどその他の燻製品も同じです。

そんな状態になった猪ベーコンでまずは「ベーコンエッグ」・・・・・
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「おっ!イイ感じ、美味しいや!」

今回も成功です。

ありがとうございました

昨年の12月11日に老師匠がご逝去されました。

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私自身も、おおよそのご余命を伺ってから覚悟はしていたのですが・・・・・。

昨年の10月に猟場の様子を確認するため、一緒に山に入り散策したのが老師匠のお元気な姿を見た最後となってしまいました。

ご遺族の方の話では、老師匠がまだ会話ができる状態の時に「子犬の成長を見たかった」と残念がっていらっしゃったそうです。

「子犬」とは、現在生後6ヶ月となったカノのことで、最後まで勢子魂を持ち続けた方でした。

亡くなられて1ヶ月が経ちましたが、不思議なことに私の心の中で老師匠はまだお元気なのです。

老師匠と一緒に見切りをしたり、猟犬の訓練を行ったり、栗を拾ったりした山に毎週のように入っているからなのでしょうか。

山で見切りをしていると「ようっ!」とその辺から声をかけて、出て来そうな感じになるのです。

それか、老師匠から授かったヤマと、老師匠と一緒に譲り受けに行ったコーシンとカノを毎日世話したり、遊んだりしているからでしょうか。

何れにしても、私が狩猟を続けている間は、老師匠は私の心の中でいつまでもお元気なはずです。

私は老師匠が教えて下さった「狩猟者の心得」をこれからもしっかりと守り、社会人として人間として恥ずかしくない狩猟者になってみせます。

恩返しは、まずはここからだと思っています。


イノシシ!待ってろよ!

この勢子師匠に足跡を追跡され、寝場を見切られてしまったイノシシは、初めの足跡が勢子師匠に発見されてしまった時点で「オマエはすでに死んでいる。オワタァ~!」と、7割ぐらいの確率でなります。

そうならなかった3割の内訳は、2割がタツのミスかタツ張りの読み違い、残りの1割は見切りそこないです。

この日の猟は結果から申しますと、2割の内のタツ張りの読み違い。

「やられた!見切りはバッチリだったのに!」

ハッキリ言ってイノシシの方が1枚上手でした。

そして、イノシシたちはシカにも助けられたのです。

ヤマとコーシンを放してしばらくして、ヤマがイノシシを発見!

ヤマは複数のイノシシを追ったものの、イノシシは二手に分かれてしまい、1頭をヤマが、もう1頭をコーシンが追うことに。

しかし、ヤマが追ったイノシシは、タツとタツの間を抜け、コーシンは別のタツの手前200m程のところでイノシシを鳴き止めています。

私が鳴き止め現場に急行するも、到着する前にイノシシが逃げ出し、またタツとタツとの間を抜けてしまいました。

ヤマとコーシンが追ったイノシシは、時間差で同じ逃走ルートを使い隣の猟場に逃げ込みます。

ところが、イノシシが逃げ込んだ猟場はシカ山。

思った通りヤマとコーシンはシカのニオイにかく乱されてイノシシを見失い、その挙句シカを追い始めてしまったのです。

実戦師匠に状況を伝え、車で現場に向かってもらい、そのまた隣の広大な猟場に移る寸前のところで、3段角の大ジカを仕留めてもらい、ヤマとコーシンがストップ。

勢子師匠が逃げたイノシシの飛び足を(すっ飛んで逃げた足跡)一早く追い、私はGPSとマーカーで常に的確に状況を把握し、先読みしてタツに伝えたのにイノシシはサヨ~ナラ~
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敗因は簡単、タツが少な過ぎ。

たまたま皆さん用事があり、いつもの半分しか鉄砲がありませんでした。

全ては結果論になってしまうので、仕方が無いのですが、こんなにあっさりタツを抜けられたのは初めてです。

まずはGPSデータを元にイノシシの逃走ルートを現場に行って確認し、逃げ込んだ猟場に暫くいるかどうか、見切ってみたいと思います。

とは言っても、私は次の日から仕事。

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すべてを勢子師匠に任せ、来週に備えます。

そして、勢子師匠のヘビの様にしつこい追跡が始まるのでした。



イノシシってグルメだな

私だけポツンと年齢が離れてしまっている私の所属する老兵軍団。

老兵とは「年をとった兵士」だけにあらず「軍事に経験の深い兵士」なのであります。

よって、私にとっては皆さん師匠。

実戦・見切り・猟犬・射撃・勢子・獲物捌き・罠と、それぞれの分野において私は勝手に「師匠」と定め、崇めております。

そんな皆さんには、毎回狩猟に関する様々な事を教えて頂き、本当に感謝感謝なのです。

その中に、猟隊のけん引役として全てにおいて秀で、私だけでなく他の師匠方々からも尊敬される凄い方がいらっしゃいます。

「御年83才!」

私はその方を「勢子師匠」と、心の中で勝手に呼ばさせて頂いております。

1月21日朝は、その勢子師匠と落ち合い見切り開始。

     私:「おはようございます!今日もよろしくお願いします!」

勢子師匠:「おはよう!」
       「あっきょ君、これ食べる?自然薯!ちょっと、くずいちゃった(テヘ)」
       (くずいちゃったとは折っちゃったの意)

勢子師匠は、私のために朝一で自然薯を掘っておいてくれたのです。
サツマイモを掘るように。
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(とても美味しかったです。ごちそうさまでした)

やはり、このご老体は、ただ者ではないのです。

ありがたく自然薯を頂戴し、まずは猟場を車でウロウロ。

この日は「この猟場に足跡主のイノシシが寝ているかな?」と、その猟場の回りや山中の足跡を見切る方法を取らず、イノシシの仕事跡を見つけ、その仕事をしたイノシシが、どこに向かい寝ているのかを辿る方法を取ります。
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(昨晩の生仕事。ちょっと分かりにくいかな)

これは、経験のなせる業であり、勢子師匠に付いて行きます。
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ちなみに仕事跡とは、イノシシがエサを探し食べるために、土を掘ったり落ち葉を払った跡のことを言います。

春の竹藪ならタケノコ、夏や秋なら深いとクズやユリの根で浅いとミミズ、冬ならドングリなど、他にも多くの食べ物が土の中や落ち葉の下にあることを、イノシシは知っています。

この日の仕事は、落ち葉を払ってドングリ類を食べた跡。

ドングリの種類によっては、秋に地面に落ちた直後はエグ味が強すぎて、流石のイノシシでも食べないものがあります。

しかし、そんなドングリでも2・3ヶ月冬の寒さにさらされると、発芽スイッチが入り、発芽の準備が始まり変化するのです。

「この時期になるとエグ味が抜けるだけじゃないよ、甘くなるよ、食べてみな」と勢子師匠に言われるまま殻の割れかかったドングリを拾って食べてみると、本当に甘くてエグ味もほとんど無し。
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「こりゃ美味しい!イノシシも夢中になりますね!」「でしょ~!」と会話も弾みながら足跡を追います。

このイノシシ御一行様は、3頭で寝場に向かいながらドングリを食べていて、無数の仕事跡。
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イノシシの大きさや頭数は、足跡が集中している場所や、仕事跡の位置や向きで判断します。

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これらの判断方法を教えて頂きながら、寝場と思われる場所を特定できたところで作戦会議。

他の方の見切りでは「この場所にいる!」とまで言い切れる猟場が無かったため、勢子師匠と私が見切った猟場に決定。

さあ~どうかな?ヤマとコーシン頼んだよ。

猪ベーコン作り②

イノシシ肉にあら塩を振ってからチルドルームで1週間。

なんちゃって真空パックのおかげで肉の変色も無し。

そして、次の工程は塩抜き。

塩分濃度の高い肉表面の塩分を抜くために、水にさらします。

この工程を飛ばすと、表面のやたら塩辛いベーコンになってしまうのです(試し済)。

水にさらす時間は、塩の量や肉質により調節しますが、今回は脂の少ない肉で塩の量も少ないため1時間ぐらい。

肉表面の塩分が抜ければ、この後の工程である「風乾」「燻煙」「熟成」の流れの中で、浸透圧効果が肉全体に塩分を均等に馴染ませてくれます。

水さらしが終わったら、次は「風乾」工程。

キッチンペーパーなどで、しっかりと水気を取り除きます。

「風乾」と言うぐらいですので、風にさらして乾かしたいところですが、風が強く当たると肉表面がカリカリになってしまい食感を損ねます。

気温の高い時期でしたら扇風機を使用することも「やむ無し」ですが、今は冬。

冬が燻製作りベストシーズンたる所以は、ここにあるのです。
(設備が充実している方は関係ありません)

私は「風乾」工程が燻製作りの中で、かなり大切ではないかと感じています。

燻製の食感・風味・味がこの工程で左右されてしまうからで、手抜きは禁物。

気温が高いと腐敗が心配。

風が強いと表面カリカリ。

乾きが甘いと、燻煙の良い風味が浸透しにくくなり、表面に燻煙のエグ味が付着。

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私は、適度に空気の流れがある物置内がいつも風乾場所。

冬とはいえ、天候や湿度そして気温は様々ですので、数日間は肉の表面を確認しながら風乾します。

頼むからあんまり雨降るなよ~!気温上がるなよ~!

か~み~様 か~み~様 お願いパパァ~ヤァ~♪