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生きもの二人三脚

ダメダメ猟

もう最低!

昨日は隊員が揃っていたこともあり、実績のある広い猟場で猟を行いました。

猟犬を放して早々に獲物が起きて、猪は4頭、鹿は10頭以上はいたでしょう。

ところが1頭もまともにタツ場に掛からず。

おまけに猟犬たちが猪との対峙で受傷。

その猪も獲り逃がしてしまいました。

くっそ~!

トラとミカサよ、すまぬ。

でも、これは私にも反省点が沢山あります。

まずは猟期半ばの中だるみと思われる状態で、猟運びの先読みを全然していなかった。

「まぁ いつも通りにやれば、猪と鹿がそれなりに獲れるっしょ」と。

あとは猟犬たちの猪との対峙でも初動が遅かった。

「はいはい、行きますよ~」と、所々で歩いてしまったし。

常日頃から「安全狩猟!」「猟犬は家族も同然!」と声高に言っておいて、これではイカンのです。

それに猟期初めとは全く異なる獲物たちの動きをナメ切っていました。

獲物たちの警戒のレベルは格段に上がり、いつもと同じ逃げルートは使わない。

そんなことは分かっているのに、また繰り返してしまった。

でも繰り返さないと、その変化や加減が分からない・・・

では ないのです。

やはり大切なことは見切り。

足跡などから獲物たちの動向を掴むための、この見切り。

完全に手を抜いていました。

シッカリと見切りを行った猟では空振りやボウズは無し。

つまり、足跡は正直なのです。

まずは褌を締め直すか。


胃内容物は語る

なんだか『科捜研の女』のような題目ですが、違います。

今回は『狩猟科捜研のオッサン』の話です。。。

私は捕獲した獲物の胃内容物を可能な限り確認するようにしています。

それは見切りが正しかったかを検証するためと、獲物たちの行動パターンを確認するため。

例えば・・・

猟場にヌカを撒き、餌付いた猪の寝場を特定し、それをピンポイント攻めで捕獲。

土質や落ち葉による足跡の変化を判断できていたか、それを捕獲した猪で確かめる。

その時に胃内容物を確認すれば「この個体に間違いない」となり、後の猟に活かされるのです。

師匠や先輩方から『見切り』を学ぶにあたっては、こんな手法も経験してきました。

しかし未だに見切りには自信なし。

猪の気持ちになり切れていないのです。

これは一生の課題かもしれません。

そんな中、少々異なりますが、昨日の猟では新たなる発見もありました。

捕獲した鹿の胃内容物を調べたところ、外皮のまま食べたミカンが大量に出てきたのです。

その猟場は切り立った岩山の尾根が続きますが、山裾にはミカンの耕作放棄地が点在。
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もちろん似たような猟場は他にもあります。

唯一異なる点は、その猟場の耕作放棄樹は10年以上も放置されているのに実が甘いこと。

昨日も勢子の最中に その耕作放棄地のミカン木を確認。

すると鹿や鳥の食べた跡がアチコチに。

実を食べてみると、相変わらず美味しい。

生きものたちは知っているのです。

美味しくないミカンの実には一切見向きもしませんから。

そして、そんな耕作放棄地の少し上には水場もある。

鹿にとっては最高に生活しやすい山。
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近頃は罠師たちの括り罠を警戒して、一つの山に留まる傾向が強くなった鹿たち。

耕作放棄樹の美味しいミカンが主食に加わり続けたのでしょう。

雌鹿の背ロース肉を丸一本いただいて帰りましたが、何かが違う。
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「ミカンの香り」とまではいきませんが、いつもの鹿肉とは異なる爽やかな香りがするのです。

家内にも確認してもらったところ「うん、いつもと違うね♪」と分かった様子。

成分移行は畜肉や鶏肉、そして卵にも知られるところではありますが、野生の鹿にもこれは起こりうるのか。

それを検証するためにも、この鹿の肉を心して食べてみたいと思います。



親方の嬉しい一言

「獲物が居ようが居まいがいいじゃんか。とりあえずその猟場をやって、タツ場や猟場の様子を覚えようよ」

先日の合同猟で別猟隊の親方が発した言葉です。

この言葉にガイド役でもある私は救われました。

そして嬉しかった。

それまでは「合同猟を行う皆を手ぶらで帰らす訳にはいかない」との思いから、大胆な作戦を取らなかった私。

分かりやすくは、猪でも鹿でも何でもいいから獲れたらと。

猟場やその時の猟犬の追われ方にもよりますが、猪と鹿の逃げコースは異なる場合が多々あります。

一般的に猪は犬に追われると山の下側に一旦は向かう傾向にあり、それを想定したタツ配置とします。
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一方の鹿は山の上側に向かう傾向にあり、開けた場所をこれ見よがしに逃げて行く。

走りで追っ手を振り切ろうとするのです。

もちろん、これらは あくまでも「傾向にある」との範疇にあり、猪などは まずは山の下側を巻いて、犬の追いが弱いと見るや山の上側に向かうことも しばしば。

鹿も然り。

山の下側であっても、その方向に開けた場所があり、すぐに隣山があれば、好んでその逃げコースを選ぶ。

つまり猟場の様子を掴んでおかないことには思うような猟果は上げられない。

またタツ場においても、迅速なタツ配置は絶対。

猟場の地形によっては、猟車のエンジン音で獲物たちが早々に逃げ出す場合も多いのです。

獲物たちの感覚や知能を決して侮るべからず。

よって、早出した獲物に対処できるタツ場からタツ配置を行うことも よくあります。

冒頭の別猟隊の親方の言葉には様々な含みがあるのです。

そんなことで、先日の合同猟では参加した隊員が少なかったことと、事前の情報により「鹿は入っていない」との判断から、タツ配置は完全な猪シフトとしました。

それにあたっては、猟場の事前の見切りで猪の往復の足跡を確認。

しかし、往復の足跡があった場合は「その猟場から抜けている」と判断するのが一般的。

なので私は悩んでいたのですが、それも別猟隊の親方は察してくれたのです。

ところが猟は惨憺たる結果に終りました。

猟場の中に10頭前後の鹿が入っており、それを先に追ってしまった猟犬たち。

見事なまでにタツに掛からず。

戻って来た猟犬で再度引き直しましたが、肝心の猪は猟場から抜けてしまっていた様子。

鹿が多かったことをオカシイと思った私は、昨日に情報元の先輩に確認。

すると全く別のルートに鹿の足跡がベタベタにあったそう。

そこは昨年までは罠師が括り罠を掛けており、鹿が全く使わなくなったルート。

それを分かっていた私は、猪シフトを考えていた事もあり、タツ配置の選択から除外していました。

でも今猟期は罠師がそこに括り罠を仕掛けていないそう。

「あ~なるほどね」と私。

策士策に溺れる。

今回も勉強になりました。

本当は猪狩りのリベンジで、その猟場をユキカゼ号と共に一銃一狗で攻めたいところですが、それはヤメ。
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また同じメンバーでリベンジしたいと思います。

皆で攻略することに意味があるのです。



暗黙の役割分担

先週とは打って変わって穏やかな猟行日となりました。

猟犬たちは捜索しやすく、撃ち手は音を聞き取りやすい無風の一日。

終ってみれば猟果も まずまず。

いつもの解体場では皆がそれぞれに作業を行っていました。
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そんな私は黙々と猟犬用のエサ確保作業。

残滓も無駄にはしません。

人用肉の取り分けは先輩方や若手たちに任せます。

皆さん手慣れたもの。

そして解体作業が終わったら、残滓の埋却や解体場の掃除開始。
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誰が何だと指示をするわけでもなく、皆がテキパキと動いている。

そんな合間にフッと海に目をやると、そこには綺麗な富士山。
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「年賀状の背景にいいな」とも思いましたが・・・

昨日、印刷してしまった。。。

なんだか一年があっと言う間。

今日も楽しい一日でした。


ニンジャ猪

今日は若犬の金剛の訓練を行いました。

三重地犬の金剛は抜群の機動力が身上。
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先導犬としたビープロのトラ顔負けの動きを見せます。

よって二頭の足並みはピッタリ。
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先導犬のトラは鹿を追っても深追いはせず。

猪に対しては、その危険性を十分に理解しつつ、ベタ追いを得意とし、早い段階で足止めをさせる猟芸。

見習い犬を上手く導いてくれる頼れる先導犬でもあります。

しかし、巻狩りでは猪も鹿も捕獲するため「猪犬」と呼ぶレベルにはあらず。

汎用的な犬なのです。

そんな二頭は猟場に放ってすぐに獲物を起こし追跡開始。

GPSが示す動きは明らかに鹿ではない・・・もしや。

所々で獲物を止めている。

ところが画面上での動きは、止めている時間が短く、動きがフラフラしている。

何かがオカシイ。

と、今度は私の方へ二頭が向かってくる。

すると、なんと!

猪と二頭が一団となって猛スピードでこちらに向かって来るでは あ~りませんか!

トラと金剛を撃たぬよう、タイミングを図りながら発砲。

しかし猪はそのまま走り去って行きました。

「しまった、ハズしたか!」

その後を追おうとした私は次なる気配を察知。

一団の後を追う子猪が三頭も・・・今年の春子かな?

大きさは どれも15kgほど。

「そうか、子引きだったのか・・・」と先ほどのGPS画面上の迷うような動きに納得。

私に気付かない様子で、同じ方向へと逃げて行きました。

さすがに子猪には引き金を引かず。

そうしたところ、更なる伏兵が子猪たちの前を走り去ります。

三段角の大鹿が騒ぎに驚き、逃げて行ったのです。

よりによって こんな時に・・・

猪を追って行った先でトラと金剛の邪魔をしなければいいのだけれど。

トラは鹿より猪を好む傾向が強いため、惑わされないことを祈るばかり。

そんな二頭は画面上では また迷ったような動き。

バキバキと音が聞こえてきたことから、猪親子は枯れ竹の中に逃げ込んだ様子。

こうなると脚の長いトラと見習い中の金剛はお手上げか。

猪親子を見失ったようで、現場に向かう途中の私の元へと戻ってきました。

そして猪の残臭を取り直し、また同じ方向へ・・・

って、違うやん!

鹿が逃げて行ったと思われる逆側の尾根下へと向かった二頭。

今度は先程の大鹿のニオイを追って見当違いの方向へ。

ここで勢子声の出番。

猪が逃げて行ったと思われる方向へと向かった私の元に、程なくして戻って来たトラと金剛。
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「おい、シッカリしろよ~違うだろ~」とトラの頭を撫でます。

気を取り直したトラは金剛を引き連れて枯れ竹の先の群生シダの中に突入。

金剛もそれを追います。
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「頼んだぞ~」

その後も二頭は懸命にニオイを取り、捜索を続けるものの、猪は発見できず。

途中、どこにも血のりが無かったことから、完全に外した感じ。

まぁ、子引きなので それで良かったのですが。

それにしても母猪は凄い。

これぞ利己的遺伝子のなせる業か。

いつもの事ながら子猪を煙幕のように使い、追っ手を攪乱。

そして偶然とはいえ、上手い具合に大鹿を変り身の術に。

しかし、これは汎用なトラだったから惑わされたこと。

我が家の秘密兵器たちならば通用しなかったでしょう。

でも いいのです。

今回は金剛を徐々に慣れさせるのが目的。

シカ山で猪犬養成訓練を行うのは骨が折れます。



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